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浜松三ツ星会(はままつみつぼしかい)

この土地ならではの料理と食文化の発展
料理人と生産者が利害を超え発信する勉強会


はままつみつぼしかい

浜松三ツ星会


高林秀幸 浜松三ツ星会 会長


取材日:2012.1.24

真面目な作り手たちが誇り高い地産地消に取り組む

 月1回早朝に、料理人や生産者などが集まって食についてのあれこれを勉強する会が浜松にある。それが浜松三ツ星会。活動を始めてから20年を超す実績のある組織だ。
 もともとはフランス料理のシェフ達による勉強会として始まった。料理を作るための食材を地元で調達するための情報交換などが主たる目的だった。やがて、同業だけでは展開が限られると考え、中華料理や和食など異分野の料理人を交えた勉強会に発展していった。そのころ参加した現会長(7代目)の高林秀幸氏は日本料理店を経営する料理人である。
 農家も料理人達との理解が深まってくると正式な会員として参加するようになり、勉強会では毎回3-5種類ほどの作物が研究材料として俎上にあがる。ちゃんとした料理に仕立て上げるときは夜に会合を開いて批評しあう。通常なら料理人どうしはライバルであり、生産者と料理人は利害が一致しない側面もある。そうした関係にある人々が一同に会して勉強するのは全国的にもとてもめずらしい。
 しばらく前までは勉強会の中身をあまりオープンにしていなかった。しかし、「なんでこんなにすばらしい情報を世間一般に伝えないのか」と指摘され、以後は活動報告をHPなどから一般に向けて発信するようになった。浜松市主催の「食と農の饗宴 フードウィークinはままつ2011」での料理コンテストの審査に協力するなど、地元食文化の発展、地産地消への貢献のために会の名を表に出して行動している。
 浜松三ツ星会のHPには「この土地にしかない料理と文化の創造。郷土の喜びと誇りへの貢献をめざして」と記してある。互いの利害を超えて地元の食文化を向上させようという高い意識がそこにある。





以下、インタビュー

1. 早朝に集まる人々

様々なジャンルの料理人が一堂に会する
地元の食材を多くの視点で認知し定着させる

 浜松三ツ星会の開始時間は朝の7時30分です。ちゃんと勉強するために、市場に仕入れに行った後とか、仕事を始める前といった時間に設定しました。フランス料理の勉強会として始まった会ですが、今はイタリアンもあれば中華料理もある、私のような和食もあります。各地に料理人の勉強会はありますが、これほど多様なジャンルにまたがったものはないでしょう。
 料理人は変わり者が多く、知識を自分だけにとどめる傾向があります。ところが、それだとせっかくいい素材があっても、流通量が限られてしまい、生産者の動きも鈍くなってしまう。長い目でみて食文化の向上になりません。利害を超えて、いい素材をいい素材として世間に周知させる。そうして流通量が増えれば価格も抑えられ、地元にも定着するんです。現状では、いい素材がちゃんとした値段で流通する東京に流れていってしまい、地元の食材だと認知されていないものが少なからずあるんです。それを減らしたい。

2. 進化しオープン化する勉強会

作ることに対する想いの距離を縮める
理解したことは一般に向けて公開する

 料理人は生産者に対し「おたくの食材を使ってやる」というような態度をしてはいけないんです。先駆している農家はすごい技術を持っています。対等な立場で、お互いに作るものに対するこだわりや心意気を理解すれば、さらにいいものを生むことにつながる。実際に、勉強会に来る農家の方々から教えられたことは本当に数多くあるんですよ。勉強会では 私が進行役となって話を振り、できるだけ会話が生まれるように努めています。互いの「想い」を知ることが地産地消にとって大切なことですから。
 会は20年も続いていますが、途中までは「闇の組織」と言っていいくらい世間から隠れて存在していました。会の活動をある婦人団体に見せたとき、「食材と食のことをこんなに深く勉強するすばらしいことをなんで内輪にとどめておくの」と問われました。それがきっかけで仲間を説得してHPを開設し、会の名を堂々と出して活動するようになりました。

3. 地産地消と食育

自慢したくなるような地元の食にする
誇りを持てば地域も食文化も育つ

 依頼されて小学校で食の授業をすることがあります。生徒に地元三ケ日みかんのジュースと大手メーカーの大量生産のジュースを目隠しで味見してもらいます。そうすると三ケ日みかんの方に多く票が入る。子ども達はおいしいものが地元で作られていると分かると、今度は自慢したくなります。そうやって食を通じて地元に対する誇りや愛着が生まれてくると思うんです。
 かつて食育は、教育、体育に並ぶ大事な学習だったはずですが、豊かになったせいか、ないがしろにされています。食というのは奥深く、難しいものでもあります。理解を深めることは大事です。
 まじめな生産者が作った良質な素材を、真っ当な料理人が吟味しながら料理する。そうした背景を含めて世間に公開して理解してもらうことが食文化の向上につながる。浜松三ツ星会のような勉強会が他の地域にも広がっていってほしいと思っています。

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ホテル コンコルド浜松

浜松市中区元城町109-18 <連絡先> TEL 053-433-1421(寿し半藍路:高林)


浜松三ツ星会(はままつみつぼしかい)

- 略歴 -

1990年ごろ、フランス料理研究会の浜松支部として浜松三ツ星会の活動開始
2009高林秀幸氏が7代目会長に就任。浜松三ツ星会のHPを立ち上げる
2010「ふるさと『食』の文化祭inはままつ」(浜松商工会議所青年部主催)に出店
2011「食と農の饗宴 フードウィークinはままつ2011」(浜松市主催)の料理コンテストの審査に協力


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