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NPO法人 グラウンドワーク三島(えぬぴーおーほうじん・ぐらうんどわーくみしま)

「水の都」の文化を守る・創るマネジメント
多様な団体をつないで、様々なイベント開く


えぬぴーおーほうじん・ぐらうんどわーくみしま

NPO法人 グラウンドワーク三島


事務局長 渡辺豊博


取材日:2012.1.31

環境再生を軸としたグラウンドワークが街の文化も盛り上げる

 源兵衛川や小浜池など、富士山の地下水系に属する湧水や河川が点在する三島市は、古くから「水の都」と呼ばれてきた。昭和30年代の高度経済成長期に環境悪化の一途を辿った水辺環境を、地域の力を結集して再生させたのが、グラウンドワーク三島だ。グラウンドワークとはイギリス発祥の市民活動における手法で、市民・NPO・企業・行政の協働による街づくり推進のため、多様な市民団体とのネットワークを形成し、活動をマネジメントする仕組みである。
 ドブ川と化していた源兵衛川がホタル乱舞するせせらぎに戻るなど、「水の都」復活にグラウンドワーク三島は大きく貢献した。パートナーシップを組む市民組織は8団体から始まり、現在20団体に達している。活動内容が異なる各組織をマネジメントし、実績を残してきたことで、グラウンドワーク三島は様々な可能性を生んでいる。環境保全活動から広がって新たな地域文化の再興・振興に関する実績を積み上げているのもその成果だ。
 俳句&トークイベント、チャリティコンサート、地域の祭りの復活、歴史的建築物の保護など、グラウンドワーク三島が実行・後援する文化活動は様々。その多様性こそが多種のネットワークから形成されるグラウンドワークらしさともいえる。ただし、すべてにちゃんと「水」という根幹をなすテーマが据えられている。
 静岡県庁職員出身で、現在、都留文科大学教授でもある事務局長の渡辺豊博さんが意識するのはプロデューサー的な役割。「水の都」の再生という目的に向かって、様々な人や組織をつなげながら様々な活動をとりまとめていく。自然環境の再生のみにとどまらない「水の都」の文化環境再生に、グラウンドワーク三島が果たす役割は広がり続けている。





以下、インタビュー

1. グラウンドワークの成果

自立した市民を育て、地域をにぎわせる
新しい文化の発信と古い文化を掘り起こす

 地域のために必要なことは、住民自らが考え行動し、どうしたら街がよくなるか、自分たちの発想と創意工夫で対応することですね。動きが鈍い行政、利益優先の企業を批判しても抜本的な解決はありません。街の一人一人が街を経営し変革していく主導者であるとの意識と、小さな課題を解決し成果を残していくアクションが大事です。その実現方法としてグラウンドワークがあったのです。現在は、美しい街なみや多様なネットワークというこれまでの成果を土台として、地域全体の振興へと活動が拡大しています。
 例えば、市民から公募した地口(じぐち)という言葉遊びを書き込んだ行灯を灯す三島宿地口行灯というイベントとタイアップして、青竹の側面に透かし彫りを入れて灯りをともす「竹あかり」という催しを市内のせせらぎ沿いで開催しています。新たな文化の発信と、古い文化の掘り起しによって街ににぎわいを創出しています。

2. 地域の宝の復活

水の文化を形成していた埋もれた文化財を再生

グラウンドワーク三島の活動初期のころ、あえて街のあら探しをしました。環境を再生するうえで手を入れる必要がある箇所を洗い出すためです。それらをひとつひとつ再生していったのですが、やっていくうちに、それらは「あら」ではなく「宝」なんだと認識を改めました。かつて、水の文化を形成していた文化財なんです。
 腰切不動尊もその一つです。御殿川に流れ着いた石仏がまつられています。グラウンドワーク三島が土地の権利者を調整してお堂と井戸を再生し、さらに地域住民に協力を仰いで大祭、例祭も復活しました。




3. 人脈を作り、活用する

俳句のイベントに2000人もの参加者
富士山の文化遺産登録への応援歌も

 地元出身で古くからの友人である女優冨士眞奈美さん、そしてその友人の吉行和子さんとは長いつきあいになります。お二人とも俳号を持っており、選者になってもらって「俳句&トーク」というイベントを開催しています。市内外の参加者から俳句を投句してもらうのですが、まずは「水の都」を歩いて知ってもらうところから始めます。実はイベント名は俳句とハイク、投句とトークをかけたものです。これは三島文化会館の大ホールに2000人を集める盛り上がりでした。お二人に会うたび「またやろう」とせかされるほどです。
 今年2月、世界文化遺産登録を目指す富士山を応援する歌「富士山だ」をリリースしました。阿久悠作詞、加藤登紀子作曲なのですが、これも音楽プロデューサーの酒井政利氏と知遇を得たことがきっかけになって実現したものです。何事をやるにも「人」の存在は欠かせません。グラウンドワーク三島は、人をつなげ調整するプロデューサー的な役割を担います。

4. 社会的企業へ

慈善事業だからこそ持続していく必要がある
地元を愛し、実力も備えた人づくりを進める

 今、グラウンドワーク三島はNPOと並立する形で株式会社の設立に向けて動いています。慈善事業といっても持続していかなければ意味はありません。むしろ慈善事業だからこそ途中でやめてしまっては多くの人を失望させてしまいます。だから持続しうるビジネスにして、それを大きくして社会的企業になるよう持っていきます。
 それには何より人間力のある人を育てることが重要です。グラウンドワーク・インターンシップという研修制度を実施しているほか、別途学校を作ろうかとも考えています。マネジメントする力、新しいネタを出し続ける力、それを実現する力を持った人を育てたい。また、実力のある人にふさわしい報酬を出せるようにしたい。
 三島という街は「水」文化のネタの宝庫といっていいところです。ふるさとを強く愛する人の中から、そうした文化をとりまとめて付加価値を高めてマーケティングしていくことができる人が現れることを願っています。


NPO法人 グラウンドワーク三島

三島市芝本町1-43 TEL 055-983-0136


NPO法人 グラウンドワーク三島(えぬぴーおーほうじん・ぐらうんどわーくみしま)

- 活動実績 -

1992「グラウンドワーク三島実行委員会」として他の市民組織、企業、行政、住民とのネットワーク化を図る
1998住民とNPO、企業、行政、専門家の協働による河川環境の維持管理を開始
1999グラウンドワーク三島としてNPO法人の認証を受ける
2008源兵衛川が環境省「平成の名水百選」に認定、正しく「水の都」復活を成し遂げる
2009三島街中カフェ開店
2011第1回地域再生大賞「大賞」を受賞


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