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MIBUワークショップ指導者の会(みぶわーくしょっぷ・しどうしゃのかい)

緑深き天竜で、郷土の誇りを表す作品演じる
地元の出演者、観客の力が作り出す舞台文化


みぶわーくしょっぷ・しどうしゃのかい

MIBUワークショップ指導者の会


ミュージカル部門講師 芹澤文子:左
モダンダンス部門講師 太田良子:右


取材日:2012.2.4

ミュージカルとダンスで地元の魅力を発信する

 森林と清流に恵まれた天竜の地で、子供たちに質の高い文化に触れさせる機会を与えたい。「MIBUワークショップ」にはそんな思いが込められている。きっかけは2002年、旧天竜市に「天竜壬生(みぶ)ホール」が完成したこと。ここを拠点に、地元の小中学生を対象としたワークショップが始まったのは2003年である。
 当初は他の講座もあったが、現在はミュージカル、モダンダンスの2部門。音楽講師の芹澤文子さんとダンス講師の太田良子さんは、ワークショップ立ち上げ時に市から要請を受け、「MIBUワークショップ指導者の会」が発足。それぞれミュージカル、モダンダンスの指導を続けてきた。2005年に浜松市と合併してからは、天竜区だけでなく浜北区などからも参加者を募り、現在150人以上が受講している。
 一方、MIBUワークショップと並行して行われているのが、芸術文化普及事業「龍水の都」文化体験プログラム。旧天竜市は「ホンダ」創業者である本田宗一郎や日本画家の秋野不矩といった著名人の出身地として知られており、その偉業と生涯、郷土の文化を分かりやすいミュージカルにすることで、子供だけでなく大人にも伝えようという事業である。MIBUワークショップ受講者を中心に、大人の参加者も加わって、文字通り「市民の力で」舞台が作られる。演出、脚本、振付等は「MIBUワークショップ指導者の会」によるもの。10年にわたって地元の偉人や自然を題材にした作品を静岡県内外で発表し、出演者の指導・育成を担ってきたことが評価され、2011年、浜松市地域文化賞を受賞した。
 ステージ上で表現する楽しさ、その作品を間近に見、感動する舞台文化を、MIBUワークショップ講師陣はこの地に地道に築き上げてきたのだ。





以下、インタビュー

1.毎年のステージが目標

ステージを通じて信頼関係を築き
身体表現の楽しさを感じる場所

太田:天竜壬生ホール完成と同時にMIBUワークショップが始まり、モダンダンス部門の講師を引き受けてから10年が経ちました。毎年受講者が少しずつ入れ替わりますが、当初と比べて応募が増えましたね。10年のうちに、ダンスを通じて学校や学年を超えた交流や信頼関係が生まれていること、言葉ではなく体を使って表現することの楽しさを伝える場所として、認知されてきていると感じています。
 ワークショップは小中学生が対象ですが、高校生になっても続けたいという希望者には今、レッスンや舞台をアシスタントとして手伝ってもらっています。中には進学などでこの地を離れても、別の場所でダンスやミュージカルなど何らかの活動を続けている子たちもいます。そういう話を聞くと、このワークショップが舞台表現の魅力を分かってもらうきっかけになったこと、そして少しずつ指導の担い手としても成長しているのだと、指導を続けて来た側としてはうれしい限りです。

2.観客にも伝える舞台文化

見る側、演じる側両方を同時に育てた10年

芹澤:10年前、見る側の意識の低さに驚きました。幼稚園の学芸会と同じ、自分の子だけ見られれば…という感じです。私は、見る側と演じる側の両方育って初めて、質の高い舞台文化だと考えていますし、全員で1つの作品を作り上げるのが目的で、誰が欠けても成り立たない舞台であることを理解してほしいと、受講者にも観客にも、舞台のたびに訴えました。多くの子供たちが関わり、見る機会が増えてようやく、見る側の意識も向上したと感じます。




3.地域の宝を次代につなげる

公共事業だからこそできた「継続は力」
メッセージを、次の10年にも伝えたい

芹澤:私はミュージカルの脚本も手がけますが、地元の偉人や自然をテーマにしつつ、命の尊さ、感謝といったメッセージも盛り込んでいます。ですから、出演者する子供たちは、ストーリーや歌詞がどんな意味をもつかを深く感じ取り、そこで発信したメッセージを次の世代へと伝えていくという大切な役割も担っているのです。
 様々な方のご協力のもと、各地で公演を重ねてきましたが、もっとも誇れるのは「続けてきたこと」。誰でも始められる門戸の広さや、天竜壬生ホールという拠点があったこと、そして公演の機会を数多く与えていただいたこと。公共事業だからこそ可能だったことも多いでしょう。
 それまでは遠くまで出向かなければ舞台を見るチャンスすらありませんでした。題材も出演者も講師も地元で、これが私たちの舞台だと、胸を張って発信できるメッセージがある。それを楽しめる観客もいる。10年経った今、それが一番の成果だと思います。


浜松市天竜壬生ホール

浜松市天竜区二俣町二俣20番地の2 TEL 053-922-3301


MIBUワークショップ指導者の会(みぶわーくしょっぷ・しどうしゃのかい)

- 略歴 -

2002旧天竜市壬生ホール開館。MIBUワークショップ開始
2003「龍水の都」文化体験開始
2004浜名湖花博にてミュージカル「机のなかの竜の森」上演
2006本田宗一郎生誕100年記念事業・記念公演にて「本田宗一郎物語」上演
2008秋野不矩画伯生誕100年事業・記念公演にて「秋野不矩物語」上演
2011浜松市地域文化賞受賞


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