» アートセッション (あーとせっしょん)|ふじのくに ささえるチカラ

アートセッション (あーとせっしょん)

街をアートに、アートを街に
地域と作家で文化の根を張る20年


あーとせっしょん

アートセッション


あしざわまさひと/代表(アトリエパセリ):左
漆畑勇司/前代表、富士芸術村村長:中
鈴木康弘/富士町シャープ振興会 前会長:右


取材日:2011/11/22

商店とアーティストの連携プレーで地域活性を願う

 富士駅前のけやき通り周辺で、1991年から年に1度開催されてきた「アートセッション」。イベントコンセプトは「街を舞台に“アート”という楽器でセッションする」というもので、街の店舗を展示空間にする。もともと制作してあったものをただ設置するのではなく、それぞれの作家が店舗の空間に合う新たな作品を考えて制作・展示するというスタイル。展示場所である店舗の協力があってはじめて成り立つものだ。
 出展する作家で構成する実行委員会と、地域振興のために発足した「富士町シャープ振興会」とが協働して行事を企画する。振興会の発足時に会長を務めていたのが鈴木康弘さん。実行委員会の会長は発足から15年間、漆畑勇司さんが務め、16年目から自身の教え子であるあしざわまさひとさんに引き継いでいる。いずれも富士市出身。漆畑さんは2004年に開村した「富士芸術村」の村長でもある。
 そもそもの発端は「作品をギャラリーや美術館以外のところに展示するのはどうだろう?」という発想だ。漆畑さんが作家仲間と富士川河口へ訪れたときに思いついた。同市内では作品を展示できる場所は小さな公民館くらいしかなく、みな東京などで出展していた。発想を元に「それなら街でやろう」となって委員会を発足させた。駅前で複数の商店を経営していたオーナーに相談して開催が実現。1年後に富士町シャープ振興会が誕生した。
「人と関わりをもつことが大切」と漆畑さんは語る。各作家が展示する店舗は毎年変える。店の環境づくりを尊重したうえで作家のイマジネーションにも歩み寄ってもらうため、開催の都度、話し合いを重ねる。美術館に展示する形式では生まれない地域との連帯が、少しずつ文化を育んでいく。





以下、インタビュー

1. 文化の「底力」:漆畑勇司

人とのつながりと意思の後継が
文化を育み、支えていく

漆畑:街中でのアート展示がまだ珍しかった頃、仲間内との何気ない会話から生まれた発想でしたが、意思は当時と変わりません。とにかく地域と関わることです。文化は人とのつながりがなければ生まれない。鈴木さんには僕たちと街の方との橋渡し役としてずっと仲良くしていただいていますが、喧嘩もするんですよ。芸術家としての気持ちと、町を振興する立場とのぶつかり合いというか…互いが本気だから。目立たないけれど文化の根底にある、それが人とのつながりであって、底力と言ってもいいものかもしれません。
 あしざわ君にバトンを渡して5年。趣向は少しずつ変化していますが、それでいい。意思は引き継いでくれていると思っています。これも大切なことで、同じ人がいつまでもそこに座っていてはダメです。しっかり後継者を立て意思をつなげていく。文化を育むというのはそうやって続いていくことだと思います。

2. 文化が香る環境づくり:鈴木康弘

ゆっくりとその息吹を定着させていきたい

鈴木:商店街で何か特別なことを展開しようとすると、どうしてもメリットを考えてしまいがちです。どれくらい集客できていくら儲かったのか、というふうに。私が考えているのはそうではありません。「その街へ来ると文化の息吹をさりげなく感じる」というのが人の集まる、素敵な街なのではないでしょうか。そうした雰囲気がゆっくりと街に定着していき、誰もがほっとする街になる。我々は組織としてその環境づくりをしていきたい。



3. 高校生参加のファッションショー:あしざわまさひと

自発的な行動から、
何かが自然に生まれる街に

あしざわ:以前のアートセッションで、高校生による「アートファッションショー」を同時開催したことがありました。けやき通りを歩行者天国にして、美術部の子たちが自分で作った服を着て歩いたのです。本当はこういうことが自発的な形で生まれてほしい。まずきっかけは与えます。その後彼ら自身がそれを後輩たちに引き継ぐようになれば、自然に根づいていくと思うんですよね。実際に参加する人自らが行動を起こさないと、誰かがどこかで無理をすることになる。先輩を見て「自分もやりたい」となることが理想なんです。
 20年続いたことも止めてしまったら“ゼロ”です。なにも残らない。一時期に比べるとお店が減り、アートセッションの規模が縮小気味なのは残念ですが、残していれば、そこから何かが生まれるはずです。このイベントを軸になにができるか、僕たちも考えながら続けていきたいです。

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アートセッション

富士市富士町 <連絡先> TEL 0545-51-1181(あしざわ)


アートセッション (あーとせっしょん)

- 略 歴 -

1991アートセッション初開催(以降毎年開催)
1992主催者をシャープ振興会と共同とし開催
2003わかふじ国体公開競技スポーツ芸術協賛事業
とし開催
2005第1回アートファッションショー開催
2006第2回アートファッションショー開催
2009第24回しずおか国民文化祭「紙のアートフェスティバル」協賛事業として開催
2011主催者をアートセッション実行委員会のみで開催


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