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山本 和子(やまもと・かずこ)

掛川の誇る芸術資産を使って多彩な企画
現代アートと市民を結び、街を活気づける


やまもと・かずこ

山本 和子


NPO法人 掛川の現代美術研究会 代表
好きです! かけがわのまち実行委員会 代表
掛川おかみさん会 会長


取材日:2012.2.5

始まりはパブリックアートの清掃活動

 掛川城のお膝元、二の丸美術館と二の丸茶室を舞台とする「掛川現代アートプロジェクト・夜の美術館と現代アート茶会」が始まって5年たつ。夜闇の美術館で懐中電灯を照らしながら美術品を鑑賞した後、茶室で茶会を楽しみ、作家が制作した茶道具を鑑賞するという催しだ。「掛川の現代美術研究会」が主催する。同研究会の代表であり駅前商店街の呉服店店主・山本和子さんが、現代美術ジャーナリストの山口裕美さんに企画を依頼、実現した。山口さんはこの日のために作家へ茶道具の制作を依頼し、作品解説を通して来場者と作家の橋渡し役も担う。
 現代アートは難解なイメージがつきまとう。山本さんは山口さんの著書『現代アート入門の入門』を読み、その内容のわかりやすさから「彼女なら現代アートを身近なものにしてくれる」と確信。すぐ山口さんに連絡した。パブリックアートや美術館という資産が身近にある掛川市民に、市民としての誇りを持ってほしいという気持ちを伝えた。
 2001年まで掛川に在住した美術家ジュン・スズキさんの影響を受けてきた山本さんは、芸術に関わるさまざまな市民活動を展開してきた。掛川にはモニュメント『玄(げん)』をはじめスズキさんの作品が多く残る。彼が海外に移住した後、彼女は現代美術研究会を立ちあげ、市内にあるパブリックアートの清掃を始めた。街の財産をきちんとした形で後世に残すためだ。清掃という極めて基本的な活動が現代アートプロジェクトにもつながった。
 中心市街地の活性化を目的に活動する掛川おかみさん会では毎月、子どもの絵を街中に飾る。「街にみんなの気持ちを集めよう」と始めた「掛川ひかりのオブジェ展」も10年以上開催してきた。市民の財産で街を活気づかせる。






以下、インタビュー

1.掛川ひかりのオブジェ展

ひかりのオブジェによって街に気持ちを集め
ひとりひとりにみんなの居場所をつくる

 ひかりのオブジェ展は「掛川城から続く駅前通りと玄をつなぎ、人の気持ちを集めよう」という『玄』にこめられたメッセージが息づく催しです。市民有志で立ちあげた「好きです! かけがわのまち実行委員会」の主催で、おかみさん会のメンバーも裏方で参加しています。『玄』のもう一つのメッセージが「続くことを始める」というものでしたので、人の気持ちの居場所づくりができる一過性ではないものを始めようと。作品は市外、県外からも公募し、掛川城から掛川駅までの通りをギャラリーとして展示しています。2012年は、被災した掛川の姉妹都市・岩手県奥州市の子どもたちの作品も飾りました。
 人の気持ちを集めるというのは、関心をもってもらうこと。例えば「自分の作品が飾ってあるから、行ってみようか」とか「自分の故郷を賑やかにしたいから何しようかな」というふうに考えていただくことです。

2.掛川のパブリックアート

「市民としてできること」を考える

 掛川には素晴らしい屋外美術がありますが、市民の興味は薄く、作品にも傷みがありました。その場所に設置した人や作者の意図、願いといったエピソードが伝わらずにいることは残念でなりません。そこで市に維持管理の徹底をお願いするとともに、市民でできることを考え、作品とその周辺の清掃活動を始めました。同時に海外にいるジュンさんや彫刻家の先生とも連絡をとり、作品のキャプションをまとめました。企業にも支援を頼み、キャプションを記載したパンフレットやプレートも作っています。




3.掛川現代アートプロジェクト

現代アートによって街の活性化を目指す試み

 掛川は現代アートに恵まれた街です。でも現代アートって、解りにくいものと感じますよね。どうにか身近に感じられる方法はないかと考えていたときに、山口さんの著書に出逢いました。それから彼女に猛アタックをした結果、掛川のための掛川らしい、お茶と現代アートを結ぶものを企画してくださいました。作家と同じ時間を共有できることが現代アートの良さだとも彼女はおっしゃっていて、なるほど、と納得しました。茶会で作品解説が聞けるのも、ジュンさんの作品のキャプションが書けたのも、現代アートだからです。




4.生涯学習都市・掛川の意識

それぞれの会が協力して推進する街づくり
市民に受け継がれてきた意識を後世に残す

 わたしが所属する団体は有機的に関わり動いてきました。二の丸美術館のグッズや入館割引券を景品にした商店街と中心街のスタンプラリーがありますが、これは美術館と現代美術研究会、おかみさん会をはじめさまざまな商店会、商店との共催です。もちろん、わたしたちが関わっていなくても、たくさんの市民活動が行われています。
 掛川は元々、市民活動の意識が高い街だと思います。全国で初めて生涯学習都市宣言を掲げた榛村純一さんが市長だった頃、モニュメントの維持管理をはじめ、街づくりに関するいろんなことを相談してきました。その後も市長が変わるたびにご理解を求めています。「市民ひとりひとりが、互いに何をなすべきか自ら学び、地域づくり・街づくりに生かす」という榛村さんが掲げた理念が、脈々と市民に受け継がれている気がします。その意識と財産を後世に残していくための取り組みに終わりはありません。

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NPO法人 掛川の現代美術研究会

掛川市駅前5-2(大国屋本店) TEL 0537-22-3225


山本 和子(やまもと・かずこ)

- 活動実績 -

1996掛川おかみさん会 発足
毎月第2土・日・月曜の3日間に「街中美術館」開催
毎月第2土曜に「おかみさん市」開催
2000好きです! かけがわのまち実行委員会 発足
12月初旬から1月下旬にかけて
「掛川ひかりのオブジェ展開催」(以後毎年開催)
2002掛川の現代美術研究会発足
市内の野外彫刻やモニュメントの定期清掃開始
2007掛川現代アートプロジェクトVol.1開催(以後毎年開催)
2008街なか&美術館アートコラボ大作戦開催(以後毎年開催)
2010掛川の現代美術研究会がNPO法人として認可


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