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小泊 重洋 (こどまり・しげひろ)

静岡から茶文化を盛り上げる活動広げる
誰でもお茶を楽しめる場を作る


こどまり・しげひろ

小泊 重洋


袋井茶文化促進会 会長
茶学の会 会長


取材日:2012/11/22

地元の名産物を文化の面からも味わえるようにする

「静岡といえばお茶」と言われるくらい茶産地として全国に名高い静岡県。ところが、産地としては有名でも茶文化の発信地としては胸を張れる場面はそう多くない。そのような問題意識を持って活動しているのが袋井茶文化促進会会長の小泊重洋さんだ。
 小泊さんは静岡県庁に入ってから長い間、茶業試験場に勤務し、お茶の生産技術向上に携わってきた。生産のプロでも茶文化とはあまり縁がなかった小泊さんだが、定年間近になって金谷町(現・島田市)のお茶の郷博物館の館長の職についたあたりから急速に茶の文化面に興味を持ち、まったく違う方面からお茶と向き合うことになる。中国の茶産地である浙江省には、生産技術に関する交流・情報交換のために何回も訪問していたが、目的を変えて訪問すると、現地の茶業関係者が茶の文化や歴史にも深い造詣を持っていることを知った。自分たちも静岡で茶文化を盛り上げねばならないという使命感を持った。そして2005年7月に茶学の会を立ち上げた。
 茶文化は、抹茶をいただく茶の湯の場面だけにあるものではない。茶の間や縁側で供する煎茶にも午後のティータイムに飲む紅茶にも様々な文化が存在する。小泊さんはあらゆる方面からお茶の文化を広げていこうという考え。袋井茶にとどまらず、他産地の茶、中国茶、ベトナム茶、紅茶まで、紹介するお茶は多様だ。むしろ多様性のあるお茶だからこそ、他の茶文化を認め合うことが重要と思っているのだ。そのために、様々な講師を呼んで、お茶の歴史や他地域の茶についても講座を設けている。
 「お茶の前では平等」というのが小泊さんの基本スタンスだ。茶に関するエキスパートも一般家庭の主婦も子供達も巻き込みながら一緒になって茶の文化を楽しんでいる。


以下、インタビュー

1. 目覚め

博物館運営をきっかけに茶文化の大切さ知る
お茶の静岡だからこそ発信の場になるべき

 ずっとお茶の生産現場に向き合ってきたのですが、金谷町で立ち上げるお茶の郷博物館の館長をやることになって、茶文化の勉強を始めるとそれが面白くて面白くていっぺんにはまりました。考えてみると静岡はお茶の生産は日本一なのに、茶の文化をリードしているかというとそんなことはない。静岡でこそ茶文化を盛り上げなければならないという思いに至りました。
 金谷町での活動のあと、掛川でお茶情報発信拠点「チャ茶」を自己資金を投入して始めました。資金面で限界が来てそこは閉じたのですが、今度は袋井から声が掛かり、今は袋井駅前でチャ茶の活動をしています。
 茶文化促進会というのは中国に行くと実にたくさんあります。都市ごと、町ごとにある感じです。茶文化を身近なものにするために日本にも茶文化促進会が必要だと考えて、地元商工会などの協力も得て袋井茶文化促進会を立ち上げたのです。これが日本で初めての茶文化促進会の誕生です。

2. 柱を作る

お茶を日本に広めた栄西を掘り下げる

 袋井にある油山寺には日本にお茶を広めた栄西の銅像があります。この銅像は栄西のものとしては日本で一番大きいものです。袋井では栄西を象徴的な柱にして茶文化を促進しようと考えています。毎年5月に栄西像前で献茶式を行っていますが、2013年から秋に感謝祭も行う計画です。栄西の出身地岡山でのまちおこし事業に参加したり、栄西が開山した京都の建仁寺を訪ねたりして、各地と交流を持っています。法多山でお茶会、可睡斎で精進料理とお茶を楽しむ会というように地元の文化資源と茶の結びつきも進めています。

3. 誰もが楽しめるように

多様性を認めることが文化度の高さを示す
門戸を狭めず、肩ひじ張らず皆で茶に親しむ

 他産地のお茶には見向きもしない茶業関係者がいたり、ある茶道の流派が他流派に冷たくしたり、お茶の世界には排他的な面も見受けられます。ライバルだと思って他者を疎外するのかもしれません。だけどそれが主流になってしまってはいけません。文化度を高めるのは門戸を狭めず他を許容する姿勢が大事なんです。
 茶道の分野では袋井に拠点がある日本茶道塾とも協力関係にあります。日本茶道塾は流派を問わないという姿勢で、どこにでも出かけていき、誰にでもお茶をたて、茶の湯を教えてくれるので助かります。私がいるチャ茶は来訪者に無料で各種のお茶をふるまっているので、近所の人や子どもたちも来て気軽にお茶を楽しんでいます。
 おかげさまで人の輪がひろがり明るい展望を感じています。そこに行けばお茶があって、お茶の話ができる、そういう場をいくつも育てていきたいと思います。


袋井物産交流館内O-CHA処チャ茶

袋井市高尾町11-5 <連絡先> 0537-24-4864(小泊)

2013年2月より、活動拠点が袋井商工会議所に変更となります

小泊 重洋 (こどまり・しげひろ)

- 略 歴 -

1998お茶の郷博物館(島田市)館長に就任
 茶学の会を設立。以後、講演会、シンポジウムを継続的に実施
2005掛川お茶なんでも塾を立ち上げ。お茶情報発信処「チャ茶」を開設
2012袋井茶文化促進会を設立。袋井に拠点を移す


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