» 日本雪だるまの会 (にほんゆきだるまのかい)|ふじのくに ささえるチカラ

日本雪だるまの会 (にほんゆきだるまのかい)

埋もれかけた郷土玩具の文化を掘り起こす
歴史や作者を調査し、文献化・展示に尽力


にほんゆきだるまのかい

日本雪だるまの会


会長 山梨 博康


取材日:2013/01/06

土人形、張子、凧…、土地に根付いた玩具を研究

 月に一度、静岡市内の小梳(おぐし)神社の社務所に20人ほどの年配の男女が集まってくる。日本雪だるまの会(以下、雪だるまの会)の例会に出席する面々である。雪だるまの会は郷土玩具の愛好会。1966年に設立され、47周年を迎えるという歴史を持つ。郷土玩具の研究に関して大きな功績があり、郷土玩具作者に光を当てて郷土の文化を側面からささえる存在だ。
 雪だるまの会の初期の大きな功績は1971年、小笠町(現:菊川市)坊ノ谷で土人形の元型を発見したこと。立て続けに同年、大井川町(現:焼津市)上新田で天神と土人形の作者宅を発見した。それぞれ「坊ノ谷土人形」「志太天神」と命名し、静岡の埋もれた文化を発掘する成果となった。調査は他県にもおよび、愛知県の三河土人形の写真集を発行したことをきっかけに、幻と言われていた犬山土人形の調査に着手し、1980年に発見に至った。1982年、創立20周年に出版した記念誌「静岡県の凧」は、県内の凧について地域ごとに骨組みや紙の素材、歴史、作者など、こと細かな情報を掲載した第一級の資料ともいえるものに仕上がった。
 会員はとても研究熱心で、折々に集めた情報は毎月会報に掲載、会報の号数はすでに550を超えている。文献や会報を通じて各地の郷土玩具作家や歴史を紹介することで、会員同士の刺激となり、作家にとっては誇りになる。会員となっている作家も多い。
 歴史を積み重ねた雪だるまの会が収蔵する郷土玩具は膨大で、声をかければたくさんの郷土玩具が集まる。藤枝市郷土博物館が毎年実施する企画展『干支玩具』に協力し、富士・三島・沼津の3市の博物館の共同企画『1年間の歳時記』などにも展示協力した。いまや各地の博物館などの学芸員に頼りにされるほどの大きな存在になっている。


以下、インタビュー

1. 埋もれた文化に光をあてる

知られていない玩具や作者を調べる喜び
土人形から次第に調査対象を広げる

 諸先輩に聞くところによると、会を立ち上げてしばらくの間は模索の段階でしたが、古谷哲ノ輔さん(故人)という郷土玩具の研究家の方が入会してから活動の方向性がはっきりしてきました。ただ収集するだけでなく、調査活動に乗り出したのです。「古玩(こがん)さがし」と称して各地の郷土玩具を見て歩き、それぞれの特色や産地の分別、作者の系統図などを資料にまとめています。会報でそうした成果を発表していると、全国から情報が寄せられるようになり、会員も増えていきました。
 土人形は各地の農家にとって農閑期の余暇・娯楽だったんですね。歌舞伎を題材にしたものはブロマイドのような扱いで各家庭に置かれていたようです。私を含め会員たちは旅行や出張などで出かけると自然に土人形を探すようになっています。そして、まだ知られていない作者のことが判明するとワクワクしてきます。土人形から派生して、張子、凧、こけしなどジャンルを分けて調査するようにもなりました。

2. 文献にまとめる

調査内容をまとめて出版した本は希少本に

 会では調査・研究したものを書籍にしています。最初に発行した『三河土人形』のほか、『犬山の土人形』『静岡県の凧』などです。どれも人気化して売切れました。作者が描いた絵とか、実際の紙のサンプルなどをつけているので再販はできず、希少な本になっています。会報も100号、200号といった節目の時は特別号として情報満載の厚い冊子にしています。
 玩具の作者の方も購読してくれています。歴史を知るだけでなく、自分の制作活動の励みになっているようです。

3. 公共施設との連携

展示することによってさらに情報が集まる
学芸員とは持ちつ持たれつの協力関係築く

 博物館等の学芸員さんも会員になっており、企画展の展示協力依頼もよくあります。藤枝市郷土博物館の『干支玩具』の企画展への協力は卯年からはじめて、すでに干支が一周しました。会員はそれぞれ多数の収蔵品を持っており、協力依頼があるとたくさんの玩具が集まります。各地の博物館の展示を見るために、その玩具を知る人が現れ、また情報があつまるという効果もあり、持ちつ持たれつの関係になっています。
 郷土玩具の世界はまだまだ知られていないことが多いです。名も知れぬ作者はたくさんいて、それまで元祖のように考えられていた作者より前に作っていた人が判明したりするのです。そういう存在を知るとうれしいですし、世に知らせたいと思いますね。
 現在も玩具を製作している作者については、会が主宰するイベントで製作の実演をしてもらったり、イベント用のバッジのような小物を作ってもらったりして、少しでも世間に知られるように支援しています。


小梳神社社務所

静岡県静岡市葵区紺屋町7-13 <連絡先>TEL 054-335-0099(山梨)


日本雪だるまの会 (にほんゆきだるまのかい)

- 略 歴 -

1966佐野つとむ氏(現:名誉会長)が日本雪だるまの会を創設。会誌『雪だるま』の初版発行
1968郷土玩具愛好者の全国大会を静岡で開催
1971小笠町(現:菊川市)坊ノ谷で土人形の元型を発見。大井川町(現:焼津市)上新田で天神と土人形の作者宅を発見
1973写真集『三河土人形』を発行
1981清水市(現静岡市清水区)狐ヶ崎ヤングランド(当時)で開催の「全国の郷土玩具」に2千点展示協力
1982『犬山の土人形』出版
1990大石益光財団の『地域文化活動賞』受賞
1999藤枝市郷土博物館の企画展「干支玩具」に展示協力。以後毎年協力
2006創立40周年記念大会開催。記念図録『日本の古玩具』を発行
20083市(富士・三島・沼津)博物館共同企画「1年間の歳時記」開催協力


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