» 遠州横須賀倶楽部 (えんしゅうよこすかくらぶ)|ふじのくに ささえるチカラ

遠州横須賀倶楽部 (えんしゅうよこすかくらぶ)

アート好きを引き寄せるちっちゃな文化展
古い城下町に新たな誇りを与える


えんしゅうよこすかくらぶ

遠州横須賀倶楽部


大番頭 鈴木 武史


取材日:2012/11/27

街並みを活かした本物志向のアートイベント

 かつて城下町としてにぎわった掛川市南部の横須賀地区で、「遠州横須賀街道ちっちゃな文化展」が毎年開かれている。趣きのある旧家や古い空き家を会場にしたアートを鑑賞する催しで、作家と来訪者の交流を生んでいる。2012年で開催回数14回という実績、東北から九州まで全国から参加するアーティストは100名を超え、地方イベントの成功事例として紹介されることも多い。
 きっかけは1985年ごろ。隣町に大型のショッピングセンターができることになり、危機感を強めた地元商工会のメンバーらが集まった。当時はバブル経済のさなか。仕掛け人が現れては大規模化、近代化をはやし立てに来た。メンバーたちがそちらに舵をきらずに踏みとどまったのは、地元の祭りの存在が大きい。三熊野神社の大祭をテコ入れして存在価値を高める活動をしてきた仲間だったのだ。地元の誇りを守る意識が、周囲に右へ倣えすることを拒んだ。そして地元の宝を掘り起こし、歴史ある街並みを生かした活動へとつながっていった。
 遠州横須賀倶楽部のメンバーたちは、やることが苦にならない遊び感覚と本物志向を併せ持つことが事業を長続きさせると理解している。仕事を義務付けず、それぞれが自分の意志でやれること、やりたいことをやる。その上で、マーケットではなく文化展であるという軸はぶれさせない。アートを見る展示会だから、販売を主目的した参加は断る方針だ。参加アーティストに常駐を義務付けているのも来訪者と作家がアートを通したふれ合いをしてもらうことを重視していることの表れでもある。
 最初のうちは、けげんそうに観察していた地域住民も、最近はこぞってちっちゃな文化展の宣伝に励む。地域の誇りとして定着したあかしだろう。


以下、インタビュー

1. 変わらないものの価値

地元のあたりまえのものが宝物とわかる
イベントがいつの間にか地域の誇りとなった

 遠州横須賀倶楽部の前身が動き出した当初、バブル経済で世の中はイケイケムードにあふれかえっていました。周囲からは「街を変えなければダメだ」と言われ続けていましたが、気心が知れた仲間が集まって模索していくうちに、流行に乗るのではなく、目の前にある古いものを活用しようという方向性になりました。あのとき流行に乗っていたら今の姿はなかったでしょう。
 古い街並みや、狭く車がとおりにくい道路は地元の住民にとっては恥ずかしいもののように思われていましたが、それは人々が快適に歩ける散策しやすい環境だったのです。その環境を活かして本物志向のアート展「ちっちゃな文化展」につなげました。
 ずっと手作り感覚でやりたいように運営しているのですが、次第にファンが増えて、今では開催日はすごい人手になります。他の町にも名が知れるようになり、地元の人が誇らしげに語るのを聞くとうれしくなりますね。

2. 交流が大事

「何人来たか」より「誰が来たか」を意識

 意外かもしれませんが、私たちは特に地元活性化をスローガンにしてはいません。大勢の人が訪れて混雑するだけでは必ずしも成功とはいえないと思っています。量よりも質が大事で、作家も住民も外から来た人も固有名詞で呼び合えるような交流が生まれてほしいのです。毎年訪れるファンや作家が「また会いましたね」という言葉を交わす光景は私たちにとってごちそうなんです。
 展示会場に作家が常駐することを義務付けているのも、お客さんとの交流あってこその文化展だと考えているからです。

3. 自然な継続性

民間主導で遊び感覚だから続けられる
頼らない、あてにしないでやれること

 中心メンバーが20代のころから始めて、みんなもう50代中ごろになっています。もうライフワークと言ってもいいと思います。それだけ続けられたのも、みんなが無理をしないでやりたいからやるという遊び感覚で取り組んできたからでしょう。続けることは大事ですが、続けることが目的化してしまって逆に終わってしまう他の例を見ています。誰かが責任とか義務とか言い出し始めて、重圧を受けて当初の方針からぶれてしまったり、人が離れていったりするからです。
 自治体からの人の支援や補助金をあまりあてにしないで活動してきたことも継続につながっていると思います。何かに頼ることを前提にすると、自由にやれなくなって変質するし、頼れなくなったときに突然終わってしまいますからね。
 若い世代を無理やり参加させようともしていません。こういうやり方があることを示して地元を盛り上げる意識が生まれてくれればいいんです。形より意識をつないでいこうという考えです。


掛川南部観光案内処 プラザ大須賀

静岡県掛川市西大渕4334 <連絡先>TEL 0537-48-3060(鈴木)


遠州横須賀倶楽部 (えんしゅうよこすかくらぶ)

- 略 歴 -

1987遠州横須賀倶楽部立ち上げ
1988三社市、遠州横須賀観歩記(みてあるき)を開催
1999遠州横須賀ちっちゃな文化展を開催。以後毎年開催


一覧に戻る(TOPへ)