» 伊豆・松崎・であい村 蔵ら (いず・まつざき・であいむら くらら)|ふじのくに ささえるチカラ

伊豆・松崎・であい村 蔵ら (いず・まつざき・であいむら くらら)

手工芸と地元食を活用してにぎわいを創出
地域文化と寄り添う居場所づくり


いず・まつざき・であいむら くらら

伊豆・松崎・であい村 蔵ら


代表理事 青森千枝美


取材日:2012/11/30

高齢の女性陣がもてなしの心で社交場を運営

「伊豆・松崎・であい村 蔵ら」(以下、蔵ら)はいつも活気にあふれている。地元の海のもの、山のものを使った「日替わりひる膳」を食べに地元の人も観光客もやってくる。店には様々なクラフト作品を展示して手工芸好きな人々を呼び寄せる。運営するのは一部を除いて高齢の女性陣。代表理事の青森千枝美さんは77歳の元気な女性だ。
 蔵らの建物は古民家で築150年になる。裏手にはこの地域の特色であるなまこ壁もほどこされた趣のある建物である。かつてこの建物の持ち主だった女性から「何とか残せないものか」と相談を受けて青森さんたちが動き出した。仲間のアイデアで、共同出資して収益を分配するワーカーズ・コレクティブという方式でこの建物を引き取り、蔵らの運営を始めた。地元食材を使ったランチは大人気。最近は高齢者向け宅配弁当事業も手掛けている。手工芸品の展示・販売も順調だ。
 青森さんは小さいころから手芸に親しみ、東京で看護師となったときも、松崎に戻って民宿経営をしていたときも、ずっと腕を磨いていた。看護師の時は奉仕の心、民宿経営のころはもてなしの心というように青森さんの手作り品は環境が変わるごとに新たな味が加わって進化していった。そうした青森さんの作品を見る目は確かだ。蔵らは地元の作家のものだけでなく、外部の作家の作品も展示する。作家に活躍の場を与えるだけでなく、見に来る人の目を肥やすことも考えている。作品に刺激を受けた人がものづくりを始める。蔵らにはなんと86歳から始めて現在92歳になるおばあさんの編み物作品が立派に展示されている。
 元気のいいお年寄りが、元気を無くしかけているお年寄りを救う居場所を作っている。地元の人も観光客も和気あいあいとなる居心地のいい場所だ。


以下、インタビュー

1. 手工芸の達人

幼いころから大好きだった針仕事が原点
手作りのものづくりを世に広げたい

 私は子供のころから針を持たないと落ち着かないような針仕事好きでした。東京で看護師をしていた時も近くのカルチャーセンターに行って、刺繍から編み物、人形作り、そして木彫りなどあらゆる手芸を学びました。だから、手仕事でものを作る人と作品が大好きなんです。
 町の中の芸術家を発掘したいですね。いままで作品展をやったことのない人に蔵らを発表の場として提供したりしています。地元にも高校生まで芸術面で活躍して、大学生になってから都会に行ってしまった人もいて、そういう人たちが故郷で作品発表できると素敵だと思っています。松崎は案外ギャラリーが多い町でもあるので、ギャラリー通りのようになれる素地はあると思います。
 子どもたちにも通学合宿という形でエコバッグ作りを教えたりしました。手でものを作ることの大事さを学んでもらいたいですね。

2. えびす展とだいこく店

本格的な作品も身近なものも展示する

 この建物は恵比寿様と大黒様に縁があり、屋根瓦にも2人の神様がいます。それもあって2階ギャラリーは「えびす展」、1階は「だいこく店」と名付けて手作りの作品を展示したり、販売したりしています。えびす展の方を「展」としているのは、レベルの高い作品を鑑賞してもらうという意味合いがあります。地元の作家さんはギャラリー同士で取り合いになりがちなので、違う視点も持って外部にも目を向けて作家さんを選んでいます。だいこく店はの方は日常使いの身近な手作り手芸品などを並べています。

3. 居場所づくりに活躍

70歳から人は自由に動けるようになる
高齢者はまちづくりを引っ張ることができる

 蔵らではランチやお弁当をメンバーが調理していますが、彼女たちも長く主婦をしてきて、家庭料理のプロの作り手なんです。その腕を活用しないともったいないです。家族の団らんが減り、今は若い人もお年寄りも家庭料理に飢えているような状況ですから、蔵らの料理に自分の心の居場所を求めてやってくる人も多いと思います。
 私はよく「70歳を過ぎてからが人生の本番」とよく言うんです。その年になると、子育ても孫の世話も終わっていて自分がやりたいことをやれるようになるからです。年金もらって引っ込んでいるようじゃだめです。いろんな経験を活かすチャンスなんですよ。
 今、蔵らの運営には延べ100人くらいの人が関わっています。おばあちゃんたちが声をかけあってくるし、ここが知られるようになってくると、それまで付き合ったことのないおじいさんまで、山の花を採って持ってきてくれるようになりました。みんなの居場所になってきたのはうれしいことです。


伊豆・松崎・であい村 蔵ら

賀茂郡松崎町松崎319-1 TEL 0558-42-0100


伊豆・松崎・であい村 蔵ら (いず・まつざき・であいむら くらら)

- 略 歴 -

2010伊豆・松崎・であい村 蔵ら オープン。地のものを使った定食を提供。クラフト作品の常設展示を始める
2011さんしん(三島信用金庫)100周年記念事業「夢企業大賞」優秀賞受賞
2012内閣府のエイジレス・ライフ実践者及び社会参加活動事例・社会参加章を受章


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