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静岡古城研究会(しずおかこじょうけんきゅうかい)

静岡の城をくまなく探索する研究団体
城の成り立ちから地域の歴史文化をひもとく


しずおかこじょうけんきゅうかい

静岡古城研究会


会長 水野 茂


取材日:2013/2/21

歩き回るフィールドワークで200以上の城を新たに発見

 現在、静岡県の城の数が増え続けているという事実をご存知だろうか。それも新築された城のことではなく、古城の数が増えているのだ。1981年に静岡県が調査した時は669という数だったが、現時点では800をゆうに超え、900に迫っている。それはなぜか。静岡古城研究会が地道かつ緻密な調査をして、これまで知られていなかった古城を次々と発見しているためだ。
 会長の水野茂さんは、フィールドワークを第一に行動している。古文書や伝承を手掛かりにすることはあるものの、記録が残っていない城は数多い。だからなによりも現場に行って、城の痕跡を探る。地形を見、周囲を歩き回って、土塁や堀、石積みなどがないか調べる。日本の城の大半は山城なので、行程はきつい。しかも、発見に至る確率は低い。100回調査して、見つかるのは1~3ほどだという。とても根気と体力がいる作業なのだ。静岡古城研究会が活動を始めて40年になるが、200超という発見数は誰に誇ってもいい功績と言えるだろう。
 城の存在が確認されると、縄張図という図面を作成する。地形図上に実際の城の姿を現していくのだ。位置や形状だけでなく、堀の長さや深さ、土塁の高さなども測って正確な図面に仕上げる。その資料的価値は一級品だ。はじめて訪れた人も縄張図を手に持って現場を歩くと、単なる山歩きとは風景がまるで違って見えてくる。実際、見学会を企画しては一般の人々を城の世界にいざなっている。
 静岡古城研究会は、城ごとに歴史と概要、縄張図などをまとめ、文献にしている。2012年に発行した『静岡県の城跡-中世城郭縄張図集成-(中部・駿河国版)』は起案から9年がかりの大作となった。今後10年をかけて西部・遠江国版、東部・伊豆国版をまとめる計画だ。活動は衰えることを知らない。


以下、インタビュー

1. 城の魅力

ロマンかきたてる中世・戦国時代の山城
発見にかかせないフィールドワーク

 当会は鎌倉時代から江戸幕府ができるまでの中世・戦国時代の城を中心に研究しています。動乱の時代の城は歴史のロマンを感じずにはいられません。会のメンバーはそもそも歴史に興味のある人がほとんどですが、城郭研究においてスタンスが皆同じというわけではありません。古文書など過去の文献を調べることに重点を置く人、考古学的見地から遺構を調べる人、そして私のように現地調査のフィールドワーク主体というように、3つの柱があって研究しているのです。
 調査には過去の資料をあたるのは当然ですが、むしろ資料が残っていない城の方が多いのでフィールドワークが欠かせません。歴史的な背景、地形などからさまざまな仮説を立て調査に向かいます。天守閣などがある城ではなく山城なので、地形の中に人の手が入っている証拠を見つけます。実は、城郭研究は1950年代中ごろに芽生えたもので、それほど古くからあったものではありません。発見されていない城もまだ多くあるのです。

2. 記録に残す

正確な縄張図をおこすことに価値がある

 当会の基本方針の一つは、調査結果を広く一般県民、学術的にも活用できる基礎資料にまとめることです。だから城の全体を表す縄張図を必ず制作しています。正確であればあるほど価値があると考えているのでコンパスや距離計を使って測量し、地形図の上に書き込んでいくのです。当会の縄張図は、城郭研究の第一人者、村田修三先生が絶賛して太鼓判を押してくれました。
 過去の文献というものは勝者によって都合よく書かれたところもありますが、実際に残る遺構を調べることによって真実を知るという面があります。

3. 地域を知る

城郭を通して豊かな地域像形成の一助となる
シンポジウムや見学会で成果を披露する

 城郭研究は城だけを探すわけではありません。地域を丹念に調べるのです。城というものがシンボル的に存在した時代があったわけで、地域史・抗争史をひもとくと城の存在が浮かび上がってくるのです。そうした研究成果を活用して、その地域の人と共に学び、豊かな地域像を形成する一助にするというのも会の基本方針にあります。
 地域を調べるのも足が物を言います。地元の家を飛び込み訪問して手掛かりがないか協力をお願いしたりします。うまくいくことばかりではありませんが歩けば歩いただけ成果があるというのがこれまでの経験則です。
 成果は会誌『古城』に掲載するほか、3、4年に一回歴史シンポジウムを開いて発表します。そのほか、見学会を企画して、一般の人を実際の城に案内します。攻める側、守る側それぞれのルートで城に向かうと城のことが良く理解できるのです。
城は大事な文化財ですから、地域の中で保存・維持の意識を高めて歴史教育に活用してほしいですね。


静岡市葵区瀬名中央1-4-24 TEL 054-261-3107 (水野)


静岡古城研究会(しずおかこじょうけんきゅうかい)

- 略 歴 -

1972静岡古城研究会を設立
1972機関誌『古城』創刊〜(2012年現在第56号)
1994久能山城跡現況遺構確認調査報告書
2001創立30周年記念フォーラム「薩埵山陣場と東海道」
2004歴史シンポジウム・イン春野「今よみがえる中世の北遠」
2007歴史シンポジウム・イン沼津「よみがえる戦国の村—阿野庄と七栗田—」
2010歴史シンポジウム・イン藤枝「花蔵の乱—隠された真実と諸城跡—」
2012創立40周年。『静岡県の城跡-中世城郭縄張図集成-(中部・駿河国版)』発刊


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