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アーティスト ロフト ボタニカ(あーてぃすと・ろふと・ぼたにか)

アートを生む場・生まれる場をシェアする
固まらず、進化する刺激空間で交流を生む


あーてぃすと・ろふと・ぼたにか

アーティスト ロフト ボタニカ


代表 下山 晶子


取材日:2013/1/28

昭和のビルがアートの交流拠点に生まれ変わる

 静岡市葵区の研屋(とぎや)町に、独特な佇まいのビル「アーティスト ロフト ボタニカ」(以下、ボタニカ)がある。昭和50年代に建てられたビルの外観は、最近の建築物とは異なる趣きを醸し出す。門をくぐれば階段や廊下にまでアートな世界が広がり、見る者をはっとさせる。ここはデザイナーや編集者などが入居しているほか、カフェやギャラリーもあるシェアオフィスだ。運営しているのが下山晶子さん。静岡と東京の自宅を往復する颯爽としてセンスあふれる女性である。
 ビルは、ボタニカとなる前は商社の社員寮として使われていた。老朽化から2009年に取り壊す方向となった時、待ったをかけたのが下山さんだった。下山さんはビルを管理する川口商事の役員だが、自分が生まれ育った街を無機質な空間にしたくないとの思いがあった。古い建物の風格を活かしたシェアオフィスにしようと思いつき、動き出した。改修のため、知り合いの大工に声をかけ、仲間を見つけ、自分たちでできることは自分たちでやった。限られた予算で工夫したことが独特の雰囲気を作り出すことにもつながった。
 最初からすぐ入居者が決まったわけではない。まずはカフェを作り、クチづてで、これまでの静岡にはない場であることを伝えた。シェアオフィスであるがゆえに誰でも無条件に受け入れはしない。互いが共存共栄できる関係を作り上げることができるかどうかが重要なのだ。人を見極めつつ、既に決まった入居者とも相談しながら、ユニークな人材をボタニカに集めている。
 ボタニカは今でも随時改修され、変貌し続けている。入居者はそれを面白がり、興味をもった人もそこを訪れる。自然に会話が生じ、サロン的な交流ができる場にもなっている。


以下、インタビュー

1. シェアオフィス

静岡には無いものだから作りたかった
個々が新しいネットワークを作れる場に

 ヨーロッパを中心に海外で仕事をすることが多く、世界の主要都市でアートスペースやカフェ、ロフトが複合する施設を見てきました。しかし、静岡にはそういう場が無い。無いものだからこそ作りたいと思ったのです。また私は、どこに出かけるにも何をやるにも誰かと一緒という絆(きずな)社会に辟易としていて、一人でもふらっと立ち寄って何の違和感もない場が必要だとも思っていました。芸術の分野で生きようと考えている人はそれぞれ自分独自の世界を持っていますから、そういう場を作らないと、皆、東京や海外に出て行ってしまいます。それぞれの個が気ままに集まって、新しいネットワークを見つけられるような場所にしたいのです。
 新しい入居者は、今入居している人と相談して決めています。雑居ビルではなく、ギルドのような職人長屋のような、互いにいい刺激を与えられるような関係を作ってもらいたいので。

2. 個展のリレー

静岡には知らない人・コトがたくさんある

 上から与えられた知識だけで物事を判断する社会は問題だと考え、「誰も知らない殆ど知らない静岡研究会」という活動を始めました。その過程で、1960年代の静岡で世界からも注目された『幻触』というアート集団に着目しました。
 そのメンバーの一人だった丹羽勝次さんの個展を2012年ボタニカで開催しました。そこから静岡県立美術館で「幻触展」を開こうという企画が動き出しています。また丹羽さんに、地元で注目する作家として彫刻家石上和弘さんを紹介してもらい個展を開いています。このような本質の中心にいる人々のリレーを続けたいですね。

3. 変化すること

敷居の高さを乗り越えてくると広がる世界
人が変わり続けるように建物も変わっていい

 ここに来る若い女性などに聞くと「最初はどんなところかわからなくて入るのが恐かった」と言うんです。だけど私はそれでいいと思っています。敷居が高いのは良くないように言われることは多いのですが、高い敷居を乗り越えてくることで、来る人の志向が選別され一定化します。門戸を広げすぎると特徴がわからないものになってしまう恐れもありますし、個性化は不可欠です。入居者の職種は様々で、大学生グループやスリランカ人起業家も入っていて、他のビルとはまったく違うのがわかると思います。
 私は、ボタニカをどんどん変えていこうと意識していますし、実際変わってきています。細胞も、人間も、時代も変わり続けているのだから、ビルだって変わって当然でしょう。いつも斬新さを持ちつつ、時代から必要とされる建物であってほしいですね。


アーティスト ロフト ボタニカ

静岡県静岡市葵区研屋町25
 Email:info※kinza-botanica.com ※を@に置き換えてください。


アーティスト ロフト ボタニカ(あーてぃすと・ろふと・ぼたにか)

- 略 歴 -

2010 アーティスト ロフト ボタニカをオープン
2011カフェをオープン。インキュベーションスタジオが満室に
2012かつて、静岡には幻触がいた 丹羽勝次展』を開催。地域イベント『ボタニカマルシェ』開催。静岡30人作家によるクリスマスギフト展開催
2013石上和弘彫刻展『ボタニカウ』開催


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