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菜の花舞台実行委員会 (なのはなぶたいじっこういいんかい)

住民がプロ劇団と作る田んぼの中の舞台
春の土肥の風物詩として土地に根付く


なのはなぶたいじっこういいんかい

菜の花舞台実行委員会


事務局 浅見 雅彦


取材日:2013/1/29

出演者も観客も満開の菜の花に囲まれて楽しむ

 毎年4月、伊豆市土肥の田んぼ、満開の菜の花の中で開かれる夢のような「菜の花舞台」。野外でプロの劇団と地域住民が協力して作り上げるという他に見かけることのないイベントである。プロ劇団が出演するといっても入場は無料。大道芸人やミュージシャンといった劇団以外のプロも舞台に立つ。地元の子供たちや学生、一般人によるプログラムもある。ポスター制作、舞台設営、小道具作り、会場整理などは地域の人々が無償で担うが、それらをとりまとめるのが菜の花舞台実行委員会。浅見雅彦さんは第1回公演から携わってきたメンバーの一人である。
 菜の花舞台のきっかけは、土肥をロケ地にしたNHKの朝の連続テレビドラマ「青春家族」だった。出演した俳優、橋爪功さんがこの地を気に入り、主宰する演劇集団「円」の稽古場「橋伊豆」を作った。橋爪さんは地元の人たちと酒の席を共にし、「ヅメさん」と呼ばせ、ざっくばらんに会話する。皆が酔っぱらっていた場で飛び出した「田んぼの中で舞台ができるかな」という話が、いつのまにか現実に動き出していた。1994年に第1回公演を開催、2013年の今年で20回目となる歴史を積み上げ、すっかり土肥の春の風物詩となった。
 野外の舞台作りは何もないところから始まる。菜の花の種を蒔くのが最初の作業だ。春になり、舞台そのものも文字通り手作りする。実行委員会のメンバーは、設備業、商店主、農家、漁師、公務員など様々。学生や一般の人もボランティアにやってくる。年月を経るうちに、誰が指示することもなくそれぞれの技術やネットワークを活かして自主的に動くようになった。
 公演1週間前からは準備にてんてこまいだが、皆明るく取り組んでいる。その姿は祭りの準備をする姿に重なる。地元の文化としてしっかり根付いたということだろう。


以下、インタビュー

1. 共同作業

種まきから会場整理までみんなの力で実行
それぞれの得意を活かして参加する

 菜の花舞台は毎年4月第2週の土日に開きます。ただ、菜の花の開花時期は本来もっと早く、4月ごろ咲くように計画的に11月ごろ、種まきをしています。それが準備のスタートです。2月ごろ、演劇集団「円」(以下、「円」)から演目や設備についての指示が来始め、あわただしくなります。役所への手続きやら、地元へのあいさつ回りといったことのほか、舞台作りも大道具、小道具作りもみんなでやります。公演当日は舞台の裏方をはじめ、受付や会場整理までメンバーとボランティアでこなします。
 メンバーの中にいる電気屋さんが音響をやったり、道具作りに大工さんが活躍したり、それぞれが自分ができることを自主的にやってくれます。「円」から届いた要件を、誰が差配することもなく、あうんの呼吸で作業を分担して進んでいます。
 大変なのは雨の時ですね。ギリギリまで待ってやっぱりできないとなると、会場を稽古場に移すんですが、もう大慌てです。

2. 出し物

地元の人もプロも演じる個性ある野外舞台

「円」の演劇がメインですが、その前に、地元の子供会、中高生による合唱やブラスバンド演奏などもやってもらっています。そのほかに、太鼓をやるグループとか、大道芸人など毎年少し趣向を変えた出演者も呼んでいます。メンバーや「円」の関係者から候補を挙げてもらって、ヅメさん(橋爪さんのこと)と相談して決めてます。
 野外ということで、音の響き方が屋内とは違う独特のムードがあります。また、昼の部と夜の部の雰囲気も違います。その時々の状況をみながらアドリブで演目を変えたり、即興したりするのも、この舞台ならではの魅力じゃないでしょうか。

3. モチベーション

大変なことばかりでも確かな喜びがある
打ち上げの楽しさや、皆の成長を知ること

 菜の花舞台には毎年2000人以上の人がやってきて、にぎわいます。当日はメンバーはやることが多すぎて舞台をしっかり見ていられないくらいです。お客さんからお金をもらってもいないし、利益のようなものはなく、むしろかなり持ち出しています。それでもこれだけ続けてこれたのは、達成感とみんなの喜ぶ顔でしょうか。土曜の夜に稽古場の「橋伊豆」でやる打ち上げはとても楽しいですよ。打ち上げと言っても翌日の日曜日に公演はあるんですけどね。毎回打ち上げのためだけの出し物を用意してくる人がいたりして盛り上がります。
 長く続けていたことでお客さんの目も肥えてきていて、公演が終わった後に電話で感想を伝えてくれたりすることもうれしいですね。声の通り方が屋内と違い、風が吹くハプニングもある野外という独特な場で若手の劇団員の研鑽の場にもなっていますし、お互いが高めあえる場となればいいですね。


橋伊豆

静岡県伊豆市小土肥613 <連絡先>TEL 0558-98-2865(浅見)


菜の花舞台実行委員会 (なのはなぶたいじっこういいんかい)

- 略 歴 -

1994「菜の花舞台」第1回を開催。以後毎年4月に開催
2003公演回数が10回に
2013第20回公演を開催予定 詳しい情報はこちらまでhttp://nanohanabutai.web.fc2.com/


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