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NPO 文化財を守る会(えぬぴーおー・ぶんかざいをまもるかい)

大災害に備えて文化財を守る草の根運動
市民の中にネットワークを構築する


えぬぴーおー・ぶんかざいをまもるかい

NPO 文化財を守る会


理事長 友田 千恵


取材日:2013/3/4

地域の大切な文化財に対する理解を深め、修復技術を伝える

 東日本大震災をきっかけに、日本全体で防災意識が高まっている昨今だが、それでも一般にはあまり目を向けられていない防災分野がある。文化財の防災である。NPO文化財を守る会は大震災以前から、問題意識を持って文化財の防災に取り組んでいる団体だ。事業協同組合「静岡文化財保存修理センター」の構成団体でもある。
 理事長の友田千恵さんは文化財修復を手掛ける墨仁堂の役員で、修復作業に従事して13年になる。墨仁堂には博物館などから重要文化財に指定されるような文化財が修復のために持ち込まれる。一方、旧家や町内会、町の神社・仏閣にも古文書などの数多くの地域の文化財が保管されているが、そうした文化財は関係者による自助努力によってなんとか維持されている状況にある。特に災害時、地域に眠る文化財のことはなかなか意識されにくい。重要文化財でなくともその地域にとってはかけがえのない重要な文化遺産である。文化財を守る会はそうした文化財を少しでも多く後世に残すべく活動している。
 会員数は約70名だが、中学生から70代の年配の方まで幅広い年齢層が参加。古文書などの修復には和紙を使った穴埋めなど技術が必要なため、講座を開いて技術の普及に努めている。技術を覚えた人をやりくりして、修復予算のねん出が困難な民間の古文書をボランティアで修復する。まさに草の根的に文化財を守っているのである。その他、活動の継続性を高めるため、楽しみながら文化財そのものへの理解を深める文化財ウオークを例年企画している。2012年は第1回「文化財をまもる為のシンポジウム」を静岡市で開催した。
 東海地震への警戒で、他県に比べ早くから防災意識が高い静岡県。文化財を守る会のような活動が広がれば、防災への備えはさらに充実することになるだろう。


以下、インタビュー

1. 危機感

大災害時は公的なレスキューでは足りない
身近な文化財を守るのは一般の市民たち

 大災害が起きたとき、公的なレスキューだけでは文化財を守ることはできません。関西で阪神淡路大震災以降、修理技術者や自治体でネットワーク会議を開いたと聞き、文化財を守る会を2004年に立ち上げました。静岡では、博物館や美術館がそれぞれ防災対策をしていますが、ネットワークの形になっていませんでした。そこで学芸員さんらに声をかけて結成しました。
 最初のうちは公共の施設に展示されているような文化財を意識していたのですが、やがて、地域ごとに保管されている、その土地の歴史・文化を物語る文化財を守らなければならないと思うようになりました。そのために、地域の人々の間に文化財への意識を高めようと考えました。文化財がそこにあることを知る人が増えれば、何かあったときに保護に動いてくれる可能性が高まります。また、泥をかぶっても修復できることを知っていれば、事後に捨てられてしまうこともなくなるはずです。

2. ボランティア

被災した文化財の修復を手伝う

 会ではボランティアで民間の被災文化財の修復をしています。民間の文化財は維持する予算も少ないくらいですから、被災した文化財を修復する予算のねん出も大変なのです。会のネットワークでそうした修復が必要な文化財があることを聞くと、会員に声をかけて集まってもらい、実物の状況を確認して、修復の計画を立て、都合がつく人を募集して修復にあたります。誰もがいつも参加できるというわけではないため、時間がかかることもありますが、皆さんやる気を持って取り組んでくれますよ。

3. シンポジウム、講座

100年後、200年後にまた修復できる形で残す
文化財を残したいとの思いも広げる

 修復にあたっては、100年後、200年後もまた修復可能なようにすることをこころがけています。そのためにも、昔から用いられてきた、きちんとした和紙や糊を使い、しっかりした処置をほどこさなければなりません。
 修復技術は講座を開いて、習得してもらっています。和紙は調達した物を使いますが、和紙の特性を知るために手漉き体験もやります。手作りの楽しみもあって人気があります。文化財ウオークも楽しみにしている方が多いイベントです。郷土史研究家をお呼びして古文書講座をすることもあります。やってみて楽しい体験を盛り込むことで活動が継続しやすくなると考えています。
 2012年は第1回「災害から文化財をまもる為のシンポジウム」を開催しました。他県からの参加もあり、関心は高まっていると思います。これから毎年開催することを考えていますが、やわらかいテーマのプログラムも用意して参加者を増やしていきたいです。


NPO文化財を守る会

静岡県静岡市葵区大岩1-4-4 TEL 054-293-6613


NPO 文化財を守る会(えぬぴーおー・ぶんかざいをまもるかい)

- 略 歴 -

2003任意団体として「文化財を守る会」を発足
2004特定非営利活動法人(NPO)として認可。台風22号で被災した文化財の調査、土砂の除去ボランティア実施
2005新潟県中越地震の調査。文化財ウオーク開始
2008郷土資料の調査・整理ボランティア、修理・応急措置ボランティア開始
2009静岡市葵区建穂寺観音堂にて文化財防災訓練
2011東日本大震災を受けて会内に「文化財防災レスキューチーム」を発足。東日本大震災調査。静岡県文化財等救済ネットワークに加盟
2012「文化財防災レスキューチーム基金」設置。狩野川台風被災文書修理事業を開始。外部協力員制度を設置。「災害から文化財をまもる為のシンポジウム」を開催


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