» NPO法人 アートの里伊豆高原絵本の家(あーとのさと・いずこうげんえほんのいえ)|ふじのくに ささえるチカラ

NPO法人 アートの里伊豆高原絵本の家(あーとのさと・いずこうげんえほんのいえ)

異世代をつなげる文化交流で地域を活性化
絵本、紙芝居、自分史を作り、披露する


あーとのさと・いずこうげんえほんのいえ

NPO法人 アートの里伊豆高原絵本の家


理事長 中込 尚子


取材日:2013/05/16

キャリアを活かして伊豆の人々に刺激を与える

 小鳥がさえずる伊豆高原の緑豊かな住宅街の一角に、子供からお年寄りまでが楽しくすごせる施設がある。NPO法人アートの里伊豆高原絵本の家(以下、絵本の家)というのがその場所だ。手作りのロボットが玄関でお出迎えし、絵本がたっぷりおいてある広間や多目的室がある。そこで読み聞かせもすれば、紙芝居の創作もする。童話教室を開いたり、自分史作りに人を誘ったりする。落ち着いた雰囲気の中にありながら、もりだくさんの試みがなされている。
 理事長の中込尚子(ひさこ)さんは東京出身で、長らく出版の仕事に従事してきた。60歳を機にこの地にやってきて、若いころからやりたかった絵本館を開設した。地縁も血縁もない土地で、ともすればよそ者、お客さん扱いされて活動が制限されかねないが、持ち前のバイタリティで地元の人にじんわりと食い込み、今では地元と良い刺激を与えあえる存在になっている。出前の読み聞かせは2012年だけで107か所、3051人を対象に行った。
 読書に関連する活動を基本にして、赤ん坊から年輩の方まで広く対象としているのは、若い親子と高齢者の3世代をつなげたいという思いがあるためだ。土地のお年寄りから民話を聞き取り、子ども達が紙芝居に仕立てあげる。子ども向けの俳句教室に地元の俳人を呼んでくる。読み聞かせの経験者、初心者を問わず、練習する場を提供して、小学校、幼稚園で出前の読み聞かせをする。そうしたつなげる工夫はことかかない。伊東市の名勝地である伊東八景を題材に、8組の父子が紙芝居を創作するなど、地元の人が地元を見直すきっかけも作った。
 出版・編集のスキルをうまく生かして、足を動かして才能を持つ人を探し出し、人と人をつなげる。参加者にとっては才能をお披露目する場にもなり、自信を持つことにもなる。絵本の家は、明るく元気な地域コミュニティの拠点として大きく成長する可能性を秘めている。


以下、インタビュー

1. 夢の実現

以前から思い描いた絵本館の構想を具体化
全国を歩き回って吟味し、伊豆の地に設立

 40代の初めから、絵本館を開きたいと思ってきました。東京の美術館、画廊、デパートなどで絵本の原画展があるとよく見に行っていたものです。10年前、出版の仕事に区切りをつけ、さあと思って設立したのが絵本の家です。全国を歩き回って先輩の絵本館を見て研究し、同時に候補地を探しました。伊豆にしたのは、明るいイメージで海も山も近く、絵本を扱うのに雰囲気が合っていたからです。
 開いてすぐ、読み聞かせを始め、伊東市の子どもの居場所づくり推進事業にも挑戦しました。その事業終了後も伊東市の放課後子ども教室として継続しています。絵本の家放課後子ども教室は、お菓子作りあり、押し花工作あり、俳句教室、体操教室ありという具合に様々なプログラムがあります。その講師として地元の才能ある人を見出して依頼しています。お菓子作りの時は地元の和菓子屋さんで「お菓子ぃ共和国」の大統領に来てもらいました。合わせてそれぞれの教室では絵本の読みきかせをするなど、広がりのある教室にしています。

2. 育成

自分も勉強しながら読み聞かせリーダーを育てる

 私は本に関わる仕事に携わっていたものの、読み聞かせをしていたわけではありません。絵本の家を開設することになってすぐ勉強を始め、今も勉強中です。
 絵本の家では、読み聞かせリーダーを育成する講座を開いています。絵本作家や童話作家、紙芝居作家・実演家などプロを呼んで講師になってもらっています。現在20人ほどの読み聞かせリーダーが0歳児〜高齢者の各施設などに出向いてお話し会を開いています。

3. つなぐ

創作して披露することで自信も実力も向上
いろいろな講座を開き、人と人の接点作る

 伊東八景を題材にした紙芝居作りでは、お父さんとお子さんという組み合わせで参加してもらいました。父親の子育て参加を促す狙いがありました。また、自分達のふるさとを見直し、ふるさとに自信を持ってもらおうとも考えたのです。父子で現場を取材し、紙芝居ができると発表会を開きました。各種講座でも必ずその講座の自作品の特徴などを発表してもらうようにしています。人前で発表するという体験は自信をつけることにつながり、コミュニケーション能力も伸ばせます。
 年輩の方々には自分史を書いてもらい、自分で印刷して製本するという体験をしてもらいました。自分の過去を一回洗濯して、新たな再生に向かうきっかけになると思います。
 「絵本は生涯で3回読む」と言われています。最初は子どものころ、次に親になったとき、そして孫に読み聞かせるために。だから読書は3世代をつなぐ力があると考えています。この地で人と人との接点を作り続けていくつもりです。


NPO法人 アートの里伊豆高原絵本の家

伊東市八幡野1214-17 TEL 0557-55-3364


NPO法人 アートの里伊豆高原絵本の家(あーとのさと・いずこうげんえほんのいえ)

- 略 歴 -

2004絵本の家設立。絵本の閲覧と読み聞かせを始める。伊東市子どもの居場所推進事業に参画
2006「母と子のときめき読み書き講座」を開講
2007「大事なふるさと再現紙芝居事業」を実施
2008読み聞かせリーダーのレベルアップ講座を開始。「親子で体験ふるさと紙芝居と家庭料理事業」実施
2010「父と子が育てる伊東八景紙芝居事業」実施
2012高齢者を対象にした「自分史出版」実施。八幡野小学校での通学合宿実施。「東日本大震災避難者を囲む親子交流クリスマス交流会」開催


一覧に戻る(TOPへ)