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静岡伝統芸能振興会(しずおかでんとうげいのうしんこうかい)

歴史と共に移り変わる地元芸妓の世界
伝統芸能を支え静岡の観光と宣伝に繋げる


しずおかでんとうげいのうしんこうかい

静岡伝統芸能振興会


アドバイザー 山本 勉(やまもと・つとむ)


取材日:2013/05/24

芸妓文化と静岡市の魅力を内外に伝える

 静岡商工会議所清水事務所に静岡伝統芸能振興会がある。静岡、清水の名だたる企業のトップが主に会員に名を連ねる。山本勉さんは商工会議所で20年に亘り会に関わってきた。会の前身は140〜150の企業が会員となり芸妓衆を支援する「清美会」という商工会議所の内部団体だった。
 国際港として栄えた清水、宿場町で栄えた静岡は、東海道線開通によりますます賑わい、一時は清水に150人、静岡には250人の芸妓衆がいた。第二次世界大戦の終焉により花街はピークを迎えるが、戦後好景気の終わり頃から接待の方法も変わり始め、芸妓も時代の変化と共に減っていった。現在の芸妓は静岡に2人、清水に12人のみである。清水と静岡の合併を機に、静岡芸妓も一体として支援し更に静岡市の宣伝にも繋げたいという思いで、2012年に改編したのが当会である。
 静岡は宿場町として栄えたことで経済界との繋がりが比較的薄く、静岡芸妓は街や遠来からの客と繋がっていた。対して、清水芸妓は地元の企業に昔から愛され支援を受けてきた。商談の場で芸を披露し楽しませる事で緩衝剤としての役目を担うなど経済界と清水花柳界は密接な関係だった。今後も存続の可能性を感じられるのは、この地域に根付いた企業が芸妓を支えようとする気質がまだまだ残っているからだ。
 芸妓は一人一人が個人事業主である。常に唄や踊り、三味線などの芸事に励む。厳しい世界だ。山本さんは日頃から親身に芸妓衆の話を聞き相談にのる。本来なら定年の年齢だが、周囲からの惜しまれる声により今でも会には欠かせない相談役である。
 この会は、芸妓の教育や支援、イベントの企画や営業もする芸能プロのようだ。芸妓衆を支え、踊りの鑑賞会などさまざまなイベントを開催していくことで、静岡の魅力を内外にアピールしている。この取り組みは、静岡経済界の芸妓への歴史的関わりと山本さんの思いを継ぎながら商工会議所の役割として今後も後に続くだろう。


以下、インタビュー

1. 伝統芸能文化と観光

静岡が誇る名勝地でのイベント企画
芸妓を静岡市の観光PR大使として

 今年3月に久能山東照宮で「芸妓の踊り鑑賞会」を開きました。東照宮本殿で奉納舞も披露しました。料亭以外では初めてのイベントでしたが、一般公募をしたところ定員を大幅に越える応募がありました。清水の有名寿司店の大将を呼んで、寿司と舞を楽しむ贅沢な内容でした。羽衣ホテル、日本平ホテルや静岡の有名料亭でも開催しました。
 より多くの人に芸妓を知ってほしいというのが一番の目的でしたから、芸妓への花代は会が負担して参加費はできる限り低くしました。次に、芸妓を呼び水に静岡の観光をもっと活性化させたいという思いもあります。今後もこうした静岡の食と芸妓文化を体験できる「特上のおもてなし」を展開していきたいですね。
 他に清水港に入港する豪華客船のクルーに芸妓が花束の贈呈、国際会議の歓迎セレモニーの参加などのPR活動もしています。芸妓衆による「静岡の花柳界の歴史」についての無料講演会、駿府城公園にある紅葉山庭園茶室での鑑賞会なども開催しました。今後も一般の方々にも気軽に芸妓の舞を見ていただけるようなイベントを考えています。

2. 育成

未来の芸妓文化を支えるため新人を育成

 今年も2人の新人がデビューしました。今のこの世界ではとても喜ばしいことです。掲載してくれた新聞などメディアの力も大きいと思います。時々、会のサイトにも新人芸妓の応募が来ます。
 芸妓になるには踊りの「ちゃっきり節」が登竜門です。まずそれを覚えなくてはなりません。3番まで踊りが全部違うので難しいです。まだ半玉(見習い)ですから3番まで覚えられない場合、お披露目会には途中まででも発表します。彼女たちも一生懸命ですよ。厳しいこの世界で生きてきたお姐さん方から教わったことをさらに次の代にもしっかり伝えてくれると思います。

3. 他の活動と今後について

地元を愛しその伝統文化を守る人も支える
静岡を盛り上げるため自分たちに出来る事

 他に、静岡に根付くいくつかの郷土伝統芸能を伝承する個人や団体へも支援しています。今年は能楽師の佐野登氏、静岡市能楽連盟、静岡大学邦楽部、それと清水第五中学校の子供たちが守ってくれている羽衣の舞保存会に支援金を送りました。静岡にはこういった活動をしている人や団体がたくさんいます。それぞれが地元を愛し、そこに伝わる文化を守り伝えるという思いで活動しています。
 芸妓文化は、やはり「芸の世界」です。静岡の伝統文化として、この芸妓の世界を存続させたいという強い思いが私たちにもあります。これだけ地元の経済界、商工会議所が花柳界に関わっているのは全国でも珍しいですよ。その力も借りて、外に向けてもっと発信していきたいです。
 静岡中のホテルや料亭、施設や名所旧跡などが自ら、芸妓さんをPR大使のように考えてイベントを企画していただけるようになったら嬉しいですね。そういった、伝統文化をアイテムにした企画が増えていくことが静岡の観光が真に活性化することだと信じています。


静岡伝統芸能振興会

静岡市清水区相生町6-17静岡商工会議所 清水事務所内 TEL 054-353-3401


静岡伝統芸能振興会(しずおかでんとうげいのうしんこうかい)

- 略 歴 -

2012静岡伝統芸能振興会 発足
創立総会・理事会・幹事会開催
料亭での芸妓踊り鑑賞会 お座敷体験シリーズ開催
駿府城講演 紅葉山庭園茶室にて芸妓踊り鑑賞会 開催
国際会議・清水港での歓迎式典参加
新人芸妓お披露目会
古くから本地域に根付く伝統芸能への支援による支給
2013芸妓踊り鑑賞会 静岡の名勝シリーズ開催
国際会議・清水港での歓迎式典参加
静岡・清水地域の芸妓の歴史について セミナー開催
新人芸妓お披露目会


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