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堀田 一牛(ほった・いちぎゅう)

お茶と歴史、アートをつなぐ
のんびり歩いて楽しめる藤枝の町並みに


ほった・いちぎゅう

堀田 一牛


NPO法人 藤枝・お茶事の村 理事長


取材日:2011/12/ 1

街づくりのプロフェッショナルがふるさとの活性化に挑む

 堀田一牛さんは2004年、藤枝駅から少し離れた茶町界隈にNPO法人「藤枝・お茶事の村」を設立した。お茶をキーワードにした街づくりを考える堀田さんにとって、大規模な再開発が進む藤枝駅前よりも、茶問屋があつまり、歴史もある茶町を拠点にすることが必然だったのだ。そこから藤枝の活性化を狙った様々なイベントを仕掛けている。
 藤枝出身の堀田さんは大学進学と同時に上京し、卒業後は東京で総合デザイン会社を設立、数々の企業デザインや都市再開発計画を手がけてきた。渋谷の再開発にも関わり、現在の繁栄をもたらすことに貢献した街づくりのプロフェッショナルである。その活躍の一方で、堀田さんは毎年藤枝に帰郷するたび「町や山の元気が失われている」と危機感を感じていた。藤枝の未来について自分にできることは何かを考えるようになり、お茶文化にスポットを当てた街づくりを思い描いた。そして、ビジネス展開するなかで出版した著書の中に「将来はふるさとに『お茶事の村』をつくりたい」と夢を記した。20年前の1991年のことだった。
 その10年後、60歳になって藤枝に住まいを移し、夢の実現に動き出す。現在、副理事長となっている茶商の一言正廣(ひとことまさひろ)さんらの賛同を得て、地元の協力者を募りNPO法人を設立、第一歩を踏み出した。研究会、勉強会を定期的に開催しているほか、町歩きを楽しむ「お茶の香ロード」、お茶農家を応援する「お茶畑サポーター」、お茶産地を調査する「グリーンティーツーリズム」など、もりだくさんな活動実績がある。先々は茶文化を楽しむ施設などハード面の整備まで手がけようという計画だ。既に70歳を超えた堀田さんだが、歩みは軽やかだ。





以下、インタビュー

1. 町並みの魅力に気づかせる

散策する楽しさを来る人に提供していく
町が元気になれば山も元気になるはず

 「お茶(文化)づくり+街づくり」というコンセプトで町の活性化を図ろうとしています。お茶を通して町に人が来るようになれば、お茶を生産する山も元気になるはずだと考えています。
 多くの茶問屋が集まる茶町と、江戸時代の宿場町だった商店街の上伝馬に渡る500メートル四方のエリアを「お茶の香ロード」と名づけ、毎年2回イベントを開催しています。2011年の秋で10回目になります。大会場に人を集めて大騒ぎするような催しではありません。市内最古の寺「鬼岩寺」での大茶会や、雰囲気たっぷりの木造の古いお茶工場でのコンサートのほか、30箇所以上の街かどギャラリーなど、街を散策するのが楽しくなる仕掛けをほどこしてあります。普段も散策が楽しい町になってほしくて、そのイメージを具体的に住民に示す狙いなんです。地道に活動してきたおかげで、支援企業、協力者が増えてきて、とてもうれしく思っています。

2. 活動を定着させる

問題意識を共有してその気にさせる

 一般の人はすぐに「行政や政治家を動かそう」とか言い出しがちです。それでは安易にすぎます。街づくりには住民自らがその気になることがどうしても必要です。問題意識を共有するために、いろいろな方を研究会の講師に呼んでいます。郷土研究家の話を聞いたり、他の成功事例を学んだり…。長野県の小布施の街はお手本の一つですが、そこも30~40年かけての街づくりです。次の世代に伝えて活動すれば個性ある街は実現できるはずです。



3. 草の根の広がり

地域独自の製品を企画し、送り出したい
文化とつながる茶の可能性を伝えていく

 やりたいことはいっぱいありますが、地域発の製品を送り出すこともその一つです。理事の西野真さんが中心になって開発したのが「携帯茶器 和美包み」です。これは急須、湯飲み、抹茶椀のほか、飾り棚やミニ置き床、花器など、お茶を楽しめる道具をコンパクトにまとめて風呂敷に包んだものです。そのほか、サッカーの町にちなんで、木地師と人形作家がコラボした「さるぼぼサッカー」という置物も商品化に向けて企画しています。
 お茶事の村の参加者はだんだん主体的に動き始めています。イベントでもいろいろな人が動いてくれて、私が動かなくてもちゃんと回るようになってきました。ただもう一押しがほしい。お茶というのは文化と密接な関わりがあります。文化的な町にすれば茶産業は盛り上がります。だから茶商や茶農家などの現役の当事者から、同じ考え方の強力な推進者が現れてほしいんです。私はそのために茶の可能性の大きさを伝え続けていきます。

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藤枝市生涯学習センター

藤枝市茶町1-5-5 <連絡先>TEL 054-646-0085(堀田)


堀田 一牛(ほった・いちぎゅう)

- 略 歴 -

2002NPO法人 藤枝・お茶事の村の設立準備に入る
2003お茶サポーターの募集・派遣、お茶と歴史の町基礎調査などを開始
2004NPO法人 藤枝・お茶事の村が県の認可を受ける
 町並み作り研究会の活動を始める。イベント お茶の香ロードの第1回を開催。企画・運営に携わる。
 以降、年に1、2回開催
2009お茶の香ロードが静岡県観光大賞奨励賞を受賞
2010ひとことカフェ「八十八夜コンサート」の企画・運営


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