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劇団たんぽぽ(げきだん・たんぽぽ)

通算公演回数4万回を越える児童劇団
浜松市から全国へすべての子どもたちに夢を


げきだん・たんぽぽ

劇団たんぽぽ


代表 上保節子


取材日:2013/06/22

児童劇に一生を捧げた女優の情熱を継ぎ活動

 「劇団たんぽぽ」は創立から68年が経つ。この劇団は、児童劇に生涯を捧げた創立者である故小百合葉子さんの思いを継ぎ、浜松市を拠点に全国の子どもたちに向けて公演活動をしている。
 現在は上保節子さんが4代目代表を務め、彼女の夫で前代表だった正道さんとともに劇団を背負っている。上保さん夫婦は、小百合さんのもとで舞台活動をしていたが、現在は育成・運営する立場にある。劇団は計38人で、運営陣を除き3班に分かれる。2人は班ごとの巡業に別々に同行するため、夫婦として一緒に過ごす時間は短いが、強い絆で結ばれている。
 この劇団には、小百合さんの情熱と苦難の道のりの結晶が詰まっている。小百合さんは「子どもたちに夢を」の一心で劇団を立ち上げ、戦後の荒波を駆け抜けた女性だった。彼女は、子どもの頃にお伽(おとぎ)芝居を観て夢中になった。東京で児童演劇を提唱していた坪内逍遥に弟子入りし、女優として活躍するようになり、劇団まで結成した。戦時中は疎開先の長野でも演劇活動を続けた。
 彼女が44歳の頃、終戦直後の子どもたちの暗い顔を見て「この子たちの笑顔を取り戻したい」と、自身の劇団を改組し現劇団が生まれた。最初は衣装道具をリュックサックに詰め、村から村へと自らの足で巡業した。その後、生まれ故郷の浜松に戻ってからは、やっと歩きからオート三輪車で移動できるようになった。その後、地元企業のいすゞ自動車社長からはマイクロバスが寄贈され、公演地域もそれから一気に拡大した。しかし、その後も新設したばかりの道場が全焼するなどの致命的な苦難にも遭遇したが、多くの支援や励ましを受け、たんぽぽのように健気に強く起き上がり活動を続けてきた。
 今では全国にいくつもの活動拠点を持ち、通算公演回数は4万回を越えた。劇団たんぽぽの舞台はすでに多くの大人たちの思い出にもなっている。そして今後も、子どもたちの笑顔のために公演活動を続けていくだろう。


以下、インタビュー

1. たんぽぽの名前の由来

子どもとまっすぐ向き合う偽りのない舞台
すべての子どもたちに夢とたんぽぽを

 小百合(劇団主宰者)は、小学校の先生になることが夢でした。彼女は根っからの子ども好きで、子どもたちと対等に向き合っていました。もともと病弱だった彼女は身体をこわし、入院した病院の庭で見た、たんぽぽの花に励まされて元気を取り戻し女優の道に進みました。
 それから20年以上経ち、戦争を経験して彼女は劇団たんぽぽを創設しました。戦後の荒廃した状況下、文化的なものが何も無かったときに演劇に触れることで、子どもたちに希望を持ってほしいと真剣に考えていました。
 現在も、その思いを私たちが引き継いでいます。大人は、子どもを一人の人間として認め、接することがとても大事なのです。私たちも子どもから教わることは多いです。子どもは正直です、嘘をつきません。その子たちに向けて発信するのですから、私たちは常に衿を正していなければなりません。いつまでも子どもたちが夢を持ち続けていられるように願いながら、公演に全力を注いでいます。

2. 公演活動

全国での長年の公演活動が浸透し海外遠征も

 私たちの活動の軸は、全国の小中学校での公演と自主公演です。今まで沖縄から北海道まで日本全国を巡ってきました。海外公演では、中国に文化使節団として、韓国にはアジア太平洋児童公演芸術祭の招待を受けて公演をしました。どちらの国の子どもたちも夢中で劇を観てくれました。
 私たちは、毎年1〜2本の新作を春と夏につくります。各地での同時公演や他の活動も加えると、とても多忙ですが、全国の子どもたちからの手紙はもちろん、ご賛同いただいている方々からの支援などに励まされて活動を続けております。

3. 地域と人を結ぶ

教師や親たちへの勉強会を開き交流を深める
演劇を通じて家族の幸せを願い地域を活性化

 私たちは、子ども・教師・保護者に向けてセミナーや勉強会も開催しています。子どもの演劇教室、教科書をもとにした教師のための朗読会、保護者へは読書や読み聞かせの指導などを行っています。90歳近い劇団員の先輩にも指導に参加していただいています。声に重みがあって素晴らしいですよ。大人も子どもも皆が表現力を高めることで、より意思疎通がしやすくなると思います。
 あと、浜松市で毎年開催するクリスマス公演には外国人家族を招待しています。外国人の親を持つ子どもたちが年々増えていますが言葉の壁もあるのか、学校公演などで、その子たちの親の顔があまり見えてこなかったのです。それで、その子たちも親と一緒に家族でクリスマスを楽しんでもらおうと、4カ国語のチラシを作って呼びかけました。初年は数人でしたが、徐々に広まりたくさんの方が観に来てくれるようになりました。今では定着して日本語のチラシのみでも盛況です。
 これからも、そういった地域と人のつながりを強くし、子どもたちのためにも良い環境をつくるような活動をしていきたいと思っています。


劇団たんぽぽ 本部道場

静岡県浜松市東区子安町323-3 TEL 053-461-5395


劇団たんぽぽ(げきだん・たんぽぽ)

- 略 歴 -

1946小百合葉子「劇団たんぽぽ」創設
1947旗揚げ公演『そら豆の煮えるまで』ほか上演
1956創立10周年記念公演
1963第1回沖縄公演
1965創立20周年記念公演・通算公演回数11,074回
1966北海道公演
1974通算公演回数20,000回
1976創立30周年記念公演
1986小百合葉子 急逝
1990創立45周年記念公演
1992中国浙江省へ県の文化使節団として訪中
1996社団法人設立40周年・創立50周年記念公演
2003韓国公演
2005劇団代表 上保節子就任
2008通算公演回数38,000回
2013通算公演回数40,000回


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