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高柳製作所(たかやなぎせいさくじょ)

鉄の造形作家と金属加工工場の新たな関係
製品だけの工場からアートが生まれ地域活性へ


たかやなぎせいさくじょ

高柳製作所


代表取締役 高柳奈津紀
鉄の造形作家 マノミホ


取材日:2013/07/18

新聞記事がもとで若手作家に創作の場を提供

 湖西市の浜名湖畔からほど近く、金属加工工場を営む高柳製作所4代目代表の高柳奈津紀さんは、鉄の立体造形作家マノミホさんに工場の空いた一角をアトリエとして無償で提供している。溶接機や断裁機など、必要な加工機器が一通り揃っているため、マノさんは思う存分、作品制作に集中できる。
 きっかけは、湖西市商工会に務める白柳勤一さんがたまたま読んだ新聞記事だ。それは、文化芸術大学院生の若手作家が、2013年の卒業を直前にして、その後の制作場所の確保に困っているという内容だった。地元企業のマッチングコーディネーターである白柳さんは、高柳さんに相談を持ちかけた。白柳さんは、マノさんが在籍中、2人を引き合わせるため大学のキャンパスに高柳さんを連れて行ったという。その彼の行動力も凄い。
 それからいわゆるお見合いが成功し、マノさんは卒業して活動拠点が高柳製作所となった。学生時代も大学の工房で活発に創作活動をし、展示や数々のコンテスト受賞をしてきたが、今後もその勢いは変わらないだろう。今、両者はとても良い関係で結ばれている。マノさんにとっては、高柳さんたち企業が微笑ましく支えてくれている。1人の若手作家にとっては非常に心強いだろう。高柳製作所としては、彼女の作品が広く世に出た時にその関わりのなかで、会社の存在もアピールできたら嬉しいというスタンスである。
 部品など製品だけが置かれていた工場に、アート作品が見られるようになった。高柳さんの父で、先代の成吉さんも「正直、今まで関心の無かったアートの世界に自然に足を踏み入れられるようになった」と温かくマノさんを見守っている。高柳さん親子は、童話の世界のような恐竜やキノコなどのマノさんの作品と、地元の子どもたちが触れ合える企画の開催を商工会に相談したり、彼女の作品の展示会場に必ず足を運ぶようになったりなど、マノさんとの関係を家族のように楽しんでいるようだ。
 このような、地元企業が空いているスペースを若手作家などに開放していくことは、今まで気づかなかった自社の新しい価値の発見と、人の笑顔が見られる豊かな街づくりの基盤につながっていくだろう。


以下、インタビュー

1. 人とのつながり

関心が無かったアートの世界に自然に触れる
自社の名前とともにその魅力をひろめる活動

 高柳さん/最初、商工会の白柳さんから相談を持ちかけられた時、ちょうど製造ラインをもう1つ別の工場に集約したことも重なり、本社工場の空いたスペースを彼女に有効活用してもらおうということになった次第です。
 マノさんと出会うまで、私はアートにはあまり関心が無かったのが正直な話です。アーティストの方と身近に接することは初めてでした。マノさんを知って、作品に興味を持ち、自然にアートに接することができました。
 今では、マノさんの作品がもっと世に広まるよう応援しています。そして、自動車部品を作っている湖西市の中小企業が、こんな面白いことをやっているぞということもPRできればと思っています。でも、このことで会社の利益は考えていません。彼女も今後が期待される作家です。夢をあきらめず、金属加工工場から羽ばたいた鉄の造形作家として活躍していってくれることが何よりの私たちの願いです。いつか、僕たちも新しいビジネスにつながることを期待しながらも、全面的にマノさんの創作に協力しています。

2. 出会い

創作の場の困窮を救われた幸せな出会い

 マノさん/私は、大学院卒業のあとの制作場所に困窮していたときに、機械と場所を使わせてもらえるなんて、こんなありがたいお話はそうそう無いので本当に嬉しかったです。高柳さんと、紹介していただいた白柳さんにとても感謝しています。
 最近、おもに浜松のイベントなどで私の作品を展示していただく機会が増えてきました。高柳製作所さんのパネルを鉄で作って横に展示するなど、私なりに工夫して出来ることを考えています。今後もお世話になります。

3. 良好な関係

互いの存在が刺激となり良好な関係が続く
若手作家を支える企業が増えることを期待

 高柳さん/工場に置いてあるマノさんの作品を見て思うのは、上手に作るなら私たちの方が上手なのですが、アート的に見るなら断然、彼女の作品の方が上です。焼いた鉄の色調を利用しているところなど、なるほど凄いなと思うことがあります。図面通りでなく、いかにアイデアを形にするか、というモノ作りの参考になりますね。
 先日、湖西市のイベントでマノさんの作品が展示されました。この時は、私から商工会を通じて実行委員会の方にマノさんを紹介して実現しましたが、そのように私たち企業がバックにいることが彼女の助けになっていることもあるのかなと思います。今、お互いがとても良い関係でいます。
 以前の私たちも含めて、アートにあまり関心の無い人は多いと思います。間近で見るととても面白いんですよね。この魅力をそういう方たちにも知ってほしいです。そして、私たちを引き合わせてくれた白柳さんのような方が増えると、各地域で助かる若手アーティストはたくさんいるのではないでしょうか。


有限会社 高柳製作所 静岡県湖西市新所2811-1 TEL 053-578-1187


高柳製作所(たかやなぎせいさくじょ)

- 略 歴 -

1965高柳製作所/個人操業から始まる。
1965法人を設立する。
2002湖西市大知波に新たな生産拠点(大知波工場)を設立。
2006マノミホ/静岡文化芸術大学入学中、大学の工房で作品制作を始める。
静岡文化芸術大学大学院に進学。
2011浜松市を中心にイベントや展示会などへ参加する。
2012マノミホ展 in ZAZACITY HAMAMATSU 展示開始。
2013高柳製作所/4月からマノミホに制作の場を提供する。
マノミホ/大学院卒業後、中日新聞への記事掲載がきっかけで高柳製作所にて創作活動開始する。


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