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月見の里学遊館(つきみのさとがくゆうかん)

市民の力で営む市民のための芸術拠点
文化を耕すという心意気を胸にして


つきみのさとがくゆうかん

月見の里学遊館


鈴木雅宏 飛躍のまちづくり実行委員会 委員長:右
出口文彦 袋井市文化協会グループ 事務局長:左


取材日:2011/12/13

熱い討論をしながら進化する、運営そのものがワークショップ

 袋井市の広々とした田園地帯に建つ「月見の里学遊館」。静岡県出身の建築家、長谷川逸子氏による設計で、市民の芸術文化活動をささえる拠点にふさわしい風格がある。そして注目すべきは建物だけではない。運営方法もイベントもユニークで存在感たっぷりなのだ。
 市民スタッフからなる「飛躍のまちづくり実行委員会」を含め、4組織から構成された袋井市文化協会グループが運営にあたる。市民スタッフと事務局が協働して行事計画を立案し実行するが、特色はなんといってもワークショップを核にしていることにある。文化人を招いて話を聞くだけの講座にとどまらず、ファシリテータ(世話役)に導かれて参加者が主体的にものを作り上げるワークショップは、より密度の濃い文化活動の場となる。それらを前面に押し出したワークショップセンターという場は、全国的にみてもとてもめずらしい存在だ。
 実行委員会の委員長である鈴木雅宏さんと、袋井市文化協会グループ事務局長の出口文彦さんはたまたま同い年ということもあって、気兼ねなく話をする。若いスタッフや市民を交えて、一見喧嘩と見まごう熱い討論をしながらも建設的にまとめあげる。そうやって決まったイベント運営を市民とスタッフとアーティスト達が共に楽しむ、そのプロセスがまさにワークショップの実践に映る。
 月見の里設計者の長谷川氏は、市民が主体となる文化施設ということを強く意識して設計した。その器に、市民が魂を植えつけているのだ。上から押し付けられる文化ではなく、根っこから市民が自主的に企画し運営しようという心意気は「文化を耕そう」という館のキャッチフレーズに現れている。市民文化活動のひとつの理想の姿と言っていいかもしれない。





以下、インタビュー

1. 運営スタイルの摸索

それぞれの思いや価値観を大切にする
そこから面白い企画が生み出されてくる

鈴木:現在の形になるまでは試行錯誤の連続でした。習い事をしたい人、自分の作品を発表したい人、音楽家の演奏を聞きたい人など、市民の思いはさまざまで、それぞれの思惑で参加してきますから。イベントやるにも、裏方仕事がいいという人がいれば、企画からとことんやりたい人までいます。
全てのプロセスでたくさん人を集めようという発想はやめて、やりたいことに参加してもらっています。企画から参加する市民スタッフは5名ほどで、アートマネジメントをする事務局スタッフと一緒に検討します。この形式が3年かけてようやっと波に乗ってきました。
出口:企画検討の場では、まるで口げんかしているように見えることがあります。価値観を素直にぶつけあっているんですよ。面白いものを作りたいっていう思いでは一致しているので反目しているわけではありません。皆、得意分野で感度のいいアンテナを持っていて、感心したり、刺激を受けたりすることも多いです。

2. 画期的な試み

コンサートとワークショップを同時開催する

鈴木:ホールを使ってコンサートや講演をするアーティストや文化人には、合わせて出来るだけワークショップもやってもらうようにしているんですよ。これは月見の里独自の取り組みなんです。ドイツから来てくれたザクセン声楽アンサンブルには、コンサートの翌日に『障がい者のための音楽ワークショップ』をやってもらいましたが、ラフな格好して観衆を舞台に上げて、コンサートとはまた違う盛り上がりでしたねえ。



3. 参加する楽しさ

芸術家と市民、スタッフの距離を近づける
皆が訪れる居心地のいい場所になってきた

出口:月見の里芸術祭で、モリエールの喜劇『ごり押し結婚』っていう演劇をやったんですが、芸術監督の大岡淳さんの指導のもと、市民が演じました。高校生もいれば、私のようなおじさんも混じって。衣装も市民スタッフが作って。あれは面白かったなあ。
鈴木:充実した文化活動をするには、アーティスト達と参加者、運営スタッフの距離がないほうがいいんですよ。芝居もワークショップもそういう場になります。みんな生き生きとしてきますよ。月見の里公園を風車だらけにするというイベントをやった時は、たくさんの小学生が風車作りにはまっちゃって、しばらくの間、事務局にべったり入り浸っていました。最近は「月見の里に行けば何かある」って思えてもらえるようになって、何の気なしにふらりと立ち寄る親子もいます。月見の里の来場者数は着実に増えてきているという実感があります。市民の居場所になってきたことは本当にうれしいことです。

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月見の里学遊館

袋井市上山梨四丁目3番地の7 TEL 0538-49-3400


月見の里学遊館(つきみのさとがくゆうかん)

- 略 歴 -

2000月見の里学遊館の設立に伴い、企画運営するための市民ボランティア組織、飛躍のまちづくり実行委員会が設立される
2008ワークショップディレクターとして大岡淳氏を招く
2009袋井市文化協会、遠鉄自動車学校、東海ビル管理と実行委員会の4組織からなる、袋井市文化協会グループが共同事業体となり、月見の里学遊館の指定管理者となる
2010 (財)地域創造が発行する雑誌『地域創造』で活動が紹介される


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