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七間町このみる劇場(しちけんちょうこのみるげきじょう)

この劇場を演劇の総合的な拠点に
いずれ静岡オールスターで公演したい


しちけんちょう このみるげきじょう

七間町このみる劇場


一般社団法人 静岡アート支援機構代表
渡辺 亮史(わたなべ・あきふみ)


取材日:2016年02月25日

街中に、名前も新たに「七間町このみる劇場」がオープン!

 「七間町このみる劇場」の前身となる「アトリエみるめ」は、静岡市の郊外で産声を上げた。複数のアマチュア劇団が公演や稽古場として利用していた「寿町倉庫」の1階の小劇場がその舞台だ。2001年から10年間、ここの2階を「寿町倉庫」として使用していた市内の企業が、1階を無償で劇団向けの貸しスペースとしていたのだ。しかし、2010年9月、その経済的支援は停止となる。
 当時「劇団渡辺」として寿町倉庫に関わっていた渡辺亮史さんは劇場存続の危機に立ち上がる。先にこの場で活動していた劇団らせん劇場と協力して、「ブキッチョプロジェクト」という存続運動を開始。会員募集や県の機関、財団法人への働きかけを行い、20011年4月、晴れて自主管理に。運営法人を「静岡アート支援機構」として登記し、活動拠点の場を、静岡の方言の「若い」を意味する「みるい」芽、つまり「新芽」と社会を「見る目」をかけて、ダブルミーニングの「アトリエみるめ」と命名することにした。
 アトリエみるめで活動した4年間の後、2015年「寿町倉庫」の売却に伴って、静岡市の中心市街地である七間町に拠点の場を移す。この時、若い芽が「木の実」に育ったという思いと、「好み」、「観る」という言葉を掛け合わせて、「七間町このみる劇場」という名に。「ここは、稽古ができて発表もできる場が街中にあれば…という僕の思いにぴったりでした」と渡辺さん。
 現在、静岡市内には学生やアマチュア劇団が活躍できる100名規模の小劇場はほとんどない。自分たちの公演はもちろん、見どころのある中堅や若手の劇団を全国から招き、公演することで、演劇初心者も気軽に来られる場所にしたいという。集まりやすいという点で街中は大きなアドバンテージとなる。
 約10年使用されていなかったフロアは、オーナーに「スケルトンに戻そうか」と言わしめたほどの廃墟ぶりだった。しかし元ディスコだった怪しげな魅力はあえて各所に残し、新たにスタートを切った七間町このみる劇場。若葉が茂り、たくさんの実をつけた第2ステージが始まる。

七間町このみる劇場 こけら落とし公演七間町このみる劇場 こけら落とし公演七間町このみる劇場 誕生祭


以下、インタビュー
七間町このみる劇場

七間町このみる劇場 入口七間町このみる劇場 2Fへつづく階段七間町このみる劇場 客席旧ディスコで用いられた配電盤

1.七間町このみる劇場

いろいろな縁が重なって移転
元ディスコを活かした空間

 もともと文学を志していた僕が演劇に傾倒していったのは、文学の普遍性に比べて、その場にいないと味わえない対面芸術の祝祭的なおもしろさに魅力を感じたからでした。演劇は複製ができないものです。だからこそ劇場も稽古場も大きな意味をもちます。ただ、演劇は大きな音も出ますし、多くの人が集まるため、賃借には制約があります。正直、稽古ができて発表ができるアトリエみるめのような場所は、街中ではなかなか見つからないのでは、と思っていました。
 ところがいろいろな縁が重なり、恰好の場所とめぐりあいました。街中の古いビルのオーナーが代わり、リノベーションして若い人が集まる場所にしたいという話が舞い込んできたのです。七間町このみる劇場がある場所は3階の元ディスコ。とにかく広いし、10年くらいそのままになっているし、なかなか借り手が付かなかったようです。しかし劇場にはぴったりでした。仲介の不動産屋さんは寿町にアトリエみるめの公演を何度も観に来てくれた人。「寿町は観に行くのにちょっと遠いから、街中にも拠点を持ったら?」という軽い提案が本拠地を移すまでになるとは、その人も僕も想像していませんでした。

2014年 6時間30分の公演

2.他劇団の公演も

若手や中堅劇団の公演にも積極的
ここを静岡演劇のハブ(拠点)に

 現在、静岡市には小劇場がほとんどないため、カフェに場所を提供してもらって公演する劇団もあります。七間町このみる劇場は、その点でもちょうどいい規模の劇場。全国の若手や中堅の劇団に声をかけ、いろいろな公演が観られる劇場にしたいと考えています。ここが静岡の演劇のハブになり、いろいろなことにつながっていけばいい。演劇祭もやりたいし、いずれは地元静岡のはえぬきの役者やスタッフで静岡オールスターの舞台を行いたいと思っています。特にこれからの2年間は、積極的にいろいろなことをするつもりです。
 演劇が映画やテレビと違うのは、目の前で行われ、役者も観客も生身同士ということ。演劇だからとかしこまらないで、演じる者も観客も、同じ時間と空間を共に楽しみたい。僕たちは2014年に6時間30分もの公演を行ったことがあります。途中でお茶会、夕食会を舞台上で行い、そのタイミングで、お客さんにもお茶やお酒を振る舞ったりして、その一体感は非常に得がたいものでした。その場を共有して、双方向に楽しめるのは演劇ならではだと思います。

劇場酒場のようす

3.階下には劇場酒場Pinspotも

最新情報は階下の劇場酒場Pinspotで
これからますます目が離せない場所に

 観劇の前後に語り合う場所があるといいなと思い、ワンフロア下に「劇場酒場Pinspot」という名のバーを設けました。ここは公演がなくても開いていて、常に劇団関係者がいるサロン的なところ。SNSなどネットでも情報は出回りますが、決まったばかりの最新情報はここが発信源になると思います。終演後に、役者も観客も笑って酒を酌み交わせる場所です。
 アトリエみるめで活動している頃から10年ひと区切りと考えて、その後は街中に出て来たいと思っていました。倉庫の管理会社の売却で、それが4年と予想外に早くなってしまいましたが、それも人生の挑戦の一つだと思います。これから七間町このみる劇場というハコで、舞台演出と劇場運営、アーティストの交流など演劇活動を総合的に手がけていきます。ここがプレミアムな場所になるように精一杯のことをしていきたい。好みの演劇を見つけにぜひ来てください。


七間町このみる劇場

静岡市葵区七間町11-5 イマココ3F 054-269-5898


七間町このみる劇場(しちけんちょうこのみるげきじょう)

- 略 歴 -

2008劇団渡辺が寿町倉庫の利用開始
2008寿町倉庫の企業による使用中止決定
寿町倉庫存続運動「ブキッチョプロジェクト」の開始
2008施設名を「アトリエみるめ」とし、運営法人を登記
2015活動拠点を静岡市中心地の「七間町このみる劇場」に移す
『四川の善人(作:ベルトルト・ブレヒト)』こけら落とし公演


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