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NPO法人 伊豆こどもミュージアム(えぬぴーおーほうじん・いずこどもみゅーじあむ)

「子育て」ならぬ「子育ち」の「場」をつくり
現在は独自のメソッドでお母さんも支援


えぬぴーおーほうじん・いずこどもみゅーじあむ

NPO法人 伊豆こどもミュージアム


理事長 田所雅子(たどころ・まさこ)


取材日:2016年03月10日

天城の自然の中での「子どもの遊び場」づくりが出発点

 田所雅子さんが、夫の転勤をきっかけに伊豆市に引っ越してきたのは1992年のこと。元来、読書好きで、訪れた図書館での縁をきっかけに、伊豆市で読み聞かせのボランティアをするように。自身の子もまだ小さかったため、家庭文庫も開設し、近隣の子どもに向けて自宅での読み聞かせを始めた。だが、本の内容がなかなかこどもたちに伝わらない。うまく想像が働かないようなのだ。
 天城の自然に惚れ込み、「子どもは育つ力を持っている」という信念があった田所さんは、危機感を募らせ、この地で「子どもの遊び場」を立ち上げることを決意する。子どもの想像力が発達し、子ども同士のコミュニティが機能していくためには、自然の力が大きく作用すると思ったからだ。声をかけた仲間たちと「伊豆こどもミュージアム」の前身となる「天城プレーパークの会」を設立したのが1998年のこと。プレーパークでは大人は極力口や手を出さず、穏やかに見守るのみ。子どもたちは自然の中で思いきり身体を動かし、遊びを創造していく。やがて、森のめぐみを子育てに活かした「こども広場」や、子どもがつくる子どものまち「にじの子タウン」など、活動は進化していき、それらを総括した組織を「伊豆こどもミュージアム」と命名。2016年現在では、伊豆だけでなく三島や沼津など、出張形式の「こども広場」の活動範囲は徐々に広がっている。
 語り手としての経験から”声”の持つ”癒し”の力を実感している田所さん。子育てに疲れた親は、ついガミガミと子どもを怒ったり、きつい声を出してしまいがち。これでは大きな可能性のある子どもの才能も開花できない。親の置かれている状況も変わり、子どもを取り巻く環境は以前より深刻だと感じることも多い。
 大切なのは、親や周囲の大人が子どもに穏やかに接すること、肯定すること。そうすれば子どもは自力で育っていく。田所さんは母親の支援も視野に入れ、声を活用する子育てを提唱し、講座をスタートしている。子どもの遊びの場であり母の学びの場でもある、チルドレンズ・ミュージアムの構想を現実に移したいと、今、より一層の情熱で、子どもと親のための事業に取り組む。

伊豆こどもミュージアム伊豆こどもミュージアム 案内にじの子タウンにじの子タウン 案内ツリークライミング


以下、インタビュー
天城遊々の森

1.天城遊々の森と子ども広場

子どもの「育ち」を促す「場」づくり

 自然と子どもが大好きです。天城の自然は本当に豊かで、しとしと降る雨や燦々とあたる日の光、風に揺れる木々、鳥のさえずりなど、外にいるだけで実体験できることが沢山あります。読み聞かせをした時の子どもの反応の乏しさは、野外での遊び体験の乏しさが原因なのではないかと思い、こども達が野外で思い切り遊べる場を作ってきました。また少子化もあり、こども仲間と遊ぶ機会が以前より大幅に減っています。
 天城遊々の森では、「子育て」ではなく、「子育ち」、つまり子どもの持つ本来の力を引き出す「場」を作るようにしています。のびのびと過ごすうちにオリジナルの遊びが生まれます。全身をくまなく使い、感性も体力も自然に伸びていくのです。(天城遊々の森は国有林です。森林管理署と協定を結ぶことで、こどもが学び遊ぶ森として使わせていただいています。)
 一方で「子ども広場」は年4〜5回、近隣の町に出張して行っています。優れた木育おもちゃ、カプラ、ネフの積み木、伝承遊び(こま、けん玉、皿回し)など、木を中心としたさまざまなおもちゃやツールを持参します。遊ぶことを通じて、子どもたちに年齢を超えたつながりが生まれます。そのコミュニケーションが、子ども同士で育ち合う場になっています。

子どもの遊び場とお母さんの学びやコミュニティの場の融合を目指す子ども広場子ども広場

2.伊豆にチルドレンズ・ミュージアムを

親子がそれぞれ楽しめる
チルドレンズ・ミュージアム構想

 今まで子どもに全力で向き合ってきましたが、最近はお母さんにも支援が必要なのではないかと痛感しています。育児と仕事と両立させたり、孤独な中で子育てをしたり、お母さんたちを取り巻く環境も以前より厳しく、大変になっているのではないでしょうか。子育てしているお母さんを孤立させてはいけないと思います。私が構想しているチルドレンズ・ミュージアム(大型児童館)では、子どもの遊び場とお母さんの学びやコミュニティの場をドッキングさせたいと思っています。
 チルドレンズ・ミュージアムに親子で来ていただき、子どもは自由に遊び、お母さんはさまざまな講座を受けたり、お母さん同士のコミュニケーションを育む……、そんな場所でありたいと考えています。子どもが幸せであるためには、まず親が幸せでなくてはならないのです。私は親も子も、全力でバックアップしたいと思っています。

ヒーリングボイス養成講座

ヒーリングボイス養成講座ヒーリングボイス養成講座

3.母向けの「ヒーリングボイス養成講座」

お母さんに「声」の重要性を伝え、
トレーニングを

 読み聞かせや、地元のラジオ番組で伊豆の民話の語りをしてきた経緯から、「声」の重要性を実感しています。お母さんの「声」は、子どもに大きな影響を及ぼします。ガミガミ言わずに子どもを肯定し、穏やかな声で接するだけで、子どもの才能はぐんぐん伸びます。それに、優しい声で話すと、自分自身も癒されると思いませんか?
 常々、お母さんの声には力があって、それを活用したら子どももよく育つし楽な気持ちで子育てができると考えてきましたが、それを科学的に実験したアメリカの論文を見つけました。お母さんの声には、ストレスホルモンであるコルチゾールを軽減させる働きがあるようなのです。
 お母さんたちが「声」と子育てについて学べるように、「ヒーリングボイス養成講座」を開設しました。ゆくゆくは講師を育て、ヒーリングボイスアカデミーという学校にしていけたらと思っています。
 これからはボイストレーニングを活用し、声を使う楽しい子育てメソッドをお母さんたちに、豊かな表現方法を子どもたちに、広く伝えていきます。


伊豆こどもミュージアム

伊豆市柏久保631-1 053-489-3725


NPO法人 伊豆こどもミュージアム(えぬぴーおーほうじん・いずこどもみゅーじあむ)

- 略 歴 -

1998年「天城プレーパークの会」発足
2002年「チルドレンズ・ミュージアムin天城」第一回開催。以後複数回開催
2005年特定非営利法人「天城こどもネットワーク」を設立
2007年静岡県教育委員会より「優良協議会」として表彰
2008年静岡子育て未来大賞<ふれあい子育て応援部門特別賞>受賞
2012年組織を「伊豆こどもミュージアム」に改名


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