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NPO法人 土に還る木・森づくりの会(えぬぴーおーほうじん・つちにかえるき・もりづくりのかい)

自然林を守る活動が文化活動も守る場に
森の資源と環境が芸術家の表現を助ける


えぬぴーおーほうじん・つちにかえるき・もりづくりのかい

NPO法人 土に還る木・森づくりの会


小松 豊:副代表理事(左)
瀬戸行歩:同(右)


取材日:

風倒木や間伐材が芸術家達と組み合うことで生き返る

 NPO法人「土に還る木・森づくりの会」(以下、森づくりの会)は自然林が残る御殿場の地にある。設立のきっかけは、台風で膨大な風倒木が出たことだ。代表の関田喬氏が木を輪切りにして中を繰りぬいた植木鉢に加工することを思いつく。この植木鉢は、やがて土に還り環境を脅かさない。循環する生態系を学ぶ教材となるため、体験学習を通して子供たちに環境教育する活動を始めた。最近は展開が広がり、森を活かした文化振興につながっている。
 個人所有の森や、市や企業が保有する森の管理を任されたりして、現在約6haの森林を活動の場としている。自然林という場で活動するうち、自然について関心の高い芸術家達との接点が生まれるようになった。例えば、華道の流派からは花器制作の依頼を受けた。自然の木をそのまま使った花器は、素材も作り手も減って困っていたという。風倒木や間伐材が集まる森づくりの会は依頼相手として最適だったのだ。東京で開催された生花展では評判となり、他の複数の流派からも引き合いがくるようになった。
 その他でも、御殿場在住の木彫作家横山澄夫さんとはベストマッチングといっていいほどの関係だ。自然乾燥した木材は本来とても高価だが、森づくりの会が横山さんに素材を無償提供するようになった。作品に対価を求めない横山さんにとっては願ったりかなったりで、森づくりの会にとっても森の資源の有効活用となる。CDジャケットの制作で自然の残る撮影場所を探していたエイベックス所属歌手のyu-yuさんとの交流も生まれた。昨年は森づくりの会が作った森の中のステージでミニライブを開くことにつながった。
 森づくりの会が守る自然の森が、自然な形で芸術とつながり始めている。





以下、インタビュー

1. 森の財産

風倒木や間伐材を無駄にしないで活用する
自然との接点になる作品を通して気づくこと

小松:私たちの子供のころは自然の中で遊んでいましたし、家庭でも自然の大切さについて教えられることが多かった。しかし、今の時代の子供たちはそういう機会がめっきり減ってしまっています。私たちはここで、森づくりを通して人づくりをする心構えで環境について教えています。高校生を含め、年間でおよそ1000人の子供たちを受け入れています。
瀬戸:土に還る植木鉢は、ある程度まで機械でやって、参加者にノミと金づちで仕上げてもらいます。子供たちは「てこの原理」は知っていても、それを実践で使う機会が少ないんです。だから最初は金づちの握り方も知らない。実際に手を動かして、てこの働き方を体験することになります。工作の楽しさの過程で製材されていない木に触れ、木が持つ性質も肌で感じることができます。自然の造形物の美しさにも気づきます。ゴミ扱いされかねない風倒木も我々は様々な可能性を秘めた素材として見ています。それに気づいてほしい。

2. 地元の芸術家たちが目をとめる

森に倒れていた白樺が華道界では垂涎の的に

小松:ここに集まってくる材木は我々にとって宝の山なんですが、最近は芸術家も注目してくれるようになりました。御殿場のいけばな文化の中心的存在である翠月古流の家元からは、花器の製作を頼まれました。提供した白樺の花器の白い木肌は花を引き立て、全国の主だった流派が集まった生花展では垂涎の的になったといいます。いい花器を作るにはいけばなのことを知る必要があり、私もついに翠月古流の門下になりました。代わりに家元には森づくりの会の技術アドバイザーをお願いしました。



3. 芸術表現を助ける自然林に

森の保全と芸術支援の相性はいい
互いに活用して、双方の活動の幅を広げていく

小松:御殿場に住む横山澄夫さんは県庁職員だったころから木彫を始め、今では全国的な美術展に入選する腕前の木彫作家になっています。無償で人に作品をあげるため、自分で素材を探しては木彫りをしていましたが、今は森づくりの会が木材を提供しています。7、8年も自然乾燥した木材は森づくりの会だからこそ提供できると思います。横山さんは大きな作品に取り組むようになり、作品も進化しています。倒木に新たな命が吹き込まれ、我々としてもうれしいことです。
 芸術家達との交流が始まったのは比較的最近ですが、自然と芸術の相性はいいはずです。森の中に作ったステージで、昨年エイベックス所属歌手のyu-yuさんにミニライブをしてもらいましたが、本人からはいい環境で歌えたと喜んで頂きました。我々が自然林を守りつつ、その場をプロや地元団体の芸術活動に利用してもらう、今後もそんな関係を広げていきたいです。森を使ってもらえば環境に対する理解も深まりますからね。

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NPO法人 土に還る木・森づくりの会 製作工房(作品の展示コーナーあり)

御殿場市竃1442-1(御殿場建設内)  <連絡先> TEL 0550-87-2756(小松)


NPO法人 土に還る木・森づくりの会(えぬぴーおーほうじん・つちにかえるき・もりづくりのかい)

- 略 歴 -

1996  風倒木を使った植木鉢の制作と体験教室を開始
1999 緑化推進に貢献したことで静岡県知事から表彰
2000 NPO法人 土に還る木・森づくりの会設立
2007 キリン富士山麓水源の森づくり活動に参画
2008 富士山と木の博物館を開催
2009 道の駅「ふじおやま」に出店
2011 高根「再生の森」事業開始
 社団法人国土緑化機構の緑の募金交付金事業
  「森づくり自然学校・御殿場」開始
「森づくり市民フォーラム・御殿場」を主催。
   シンポジウムの前にyu-yuさんのミニライブ実施


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