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NPO法人 夢未来くんま(えぬぴーおーほうじん・ゆめみらいくんま)

女性たちの熱き思いが成し遂げた地域づくり
食文化で始まり、自然文化で輝き続ける


えぬぴーおーほうじん・ゆめみらいくんま

NPO法人 夢未来くんま


副理事長  大平展子(おおひら・のぶこ):右側


取材日:2011.12.6

女性たちの活動で地域の活性化に取り組み、全戸参加のNPO法人へと発展

 林業を基盤産業としていた熊地区(通称:くんま)は、高度成長期の人口流出や林業の不振による過疎化が進んでいた。このままでは人離れが進んでしまう、何とかしなければ子供たちもこの土地を離れていくことになる、と危機感を持って動いたのは地元の女性たちだった。
 熊地区の女性たちは、戦後の活発な婦人会活動を経験してきた母親や姑と身近に接してきた人が多く、活動に積極的だ。まず婦人会や生活改善グループで地元の食文化を掘り起し、味噌やそば作りに取り組んだ。それが、昭和60年に開催された「明日の熊を語る会」をきっかけに、村おこしの事業につながっていく。くんまで作られた味噌やそばは好評で、『作る』に加え『売る』手段があれば、地元が元気になると考えたのだ。「くんまに昔のような賑わいを取り戻したい」という彼女たちの熱い訴えが村の男性たちや行政を動かし、農産物の加工・販売ができる施設「村おこしくんま水車の里」が誕生する。さらに得意のそばを中心にした食事処「かあさんの店」もできた。この活動は地区の人に働く場を提供し、ものづくりへの意欲を高め、交流人口を増やすなど地域を活性化させた。それが評価され、平成元年度第28回農林水産祭むらづくり部門で、農林水産大臣賞と天皇杯のダブル受賞を果たした。
 こうした活動を継続してできる信頼性のある組織にしたいと、勉強会を重ね模索している中、国会でNPOの法案が通り認証制度が開始された。そして2000年3月、NPO法人「夢未来くんま」が熊地区の全戸加入で誕生した。それから11年、夢未来くんまは村に活気とさまざまな波及効果を及ぼしながら、高齢者福祉や環境教育など地域が向き合う課題に取り組む事業を積極的に展開している。





以下、インタビュー

1. 女性たちが取り組んだ地域活動

聞き取り調査で掘り起こした地元の食文化
調理、保存食作りから、売る場所作りへ

 婦人会活動をしていた頃から、人口が減っていくくんまを何とかしなくてはという気持ちは強かったです。昭和56年に作った『くんま、生活とその文化』は、郷土料理や行事料理、保存食など地元の食文化を子どもたちに伝えようと、一戸一戸聞き取り調査をして冊子にしたものです。中学校の家庭科室を借りて実際に作っていましたが、いろいろ不便なため地域に調理室をと陳情して生活改善センターが建設されました。ここで味噌作りや保存食作りをしていたのですが、この味噌が大変好評で売ってほしいという声も多くなり、次は何とか売る場所をという頃、明日の熊を語る会が開かれたんです。
 加工・販売施設の建設には、補助金に加え地元負担金が必要でしたが、この負担金は地域で大切に育ててきた共有林(天竜市に合併時、市に寄付)を伐採して充てられました。全てが公費で成り立っているので306戸が全戸加入で熊地区活性化推進協議会が設立されました。

2. NPO法人ができるまで

無我夢中で拡げてきた村おこし事業

 かあさんの店は報道効果で大勢のお客様に恵まれ、成果を出していましたが、4、5年経つと、水車の里の後継者問題を感じ始めました。信頼性と継続性のある組織を目指すには法人格の取得が必要と考え、3つの組織形態を1本化する検討会が続きました。平成7年頃から有限会社の定款を準備していましたが、当初の目的「地域を明るく、元気に!」にふさわしいかを考え、試行錯誤していました。平成10年12月NPO法案が通ったことで、私たちの考えに沿った法人格の取得が可能になったのです。




3. 住民の意に沿った組織づくり

「水車部」「しあわせ部」「いきがい部」
「ふるさと部」の4つの部で事業を展開

 NPO法人夢未来くんまは熊地区活性化推進協議会が発展したものなので、熊地区の全戸が加入しています。どんな事業をしてほしいかアンケートを取ったり、NPO法人化するために学習会を開いたり、合意してもらうための検討会を開く中で、共通目標のようなものが見えて来たんですね。安心して歳がとれる地域でありたい、この豊かな緑と森を守り子どもたちにふるさとの誇りを持たせたい、そういう地域ビジョンを掲げて夢未来くんまの組織を作ったんです。
 水車の里やかあさんの店などを運営する水車部、独居高齢者への給食サービスや高齢者の生きがいデイサービス「どっこいしょ」を運営するしあわせ部、交流人口の増大を図るためにイベント等を企画するいきがい部、子どもの水辺事業や山・川まもり隊などを運営実施するふるさと部。この4つの部が「ゆめまちづくり委員会」の実行部隊として事業を展開しています。

4. 夢未来くんまのこれから

子どもたちに育まれる故郷への熱い思い
外から人を受け入れる農家民宿も準備

 農産加工品の生産と販売から始まり、夢未来くんまの事業は、必要とされる方向に広がってきました。それは、夢未来くんまが地域コミュニティを大切にした課題解決型事業を目指してきた結果だと思います。
 NPO法人になって11年、浜松市への合併や中学校の統廃合など、周囲にも大きな変化がありました。村の人口は2000年からまた減少しています。でも、他都市からくんまに移住したいと言って来る方も、ここの豊かな自然を生かしたイベントに参加して、もう一度訪れたいという方もいらっしゃいます。今年度からそういう方たちを受け入れる「お試し住宅」を始めましたし、県のガイドラインをもとにして8月に農家民宿第1号が誕生しました。
「くんまってこんなに良い所がたくさんあるよ」と伝えていけば、ここに住む子どもたちに誇りを持たせると思うんです。子どもたちの数は減っても、故郷に対する思いは濃くなっていくのではないかと思います。

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道の駅 くんま水車の里

浜松市天竜区熊1976-1 TEL 053-929-0636


NPO法人 夢未来くんま(えぬぴーおーほうじん・ゆめみらいくんま)

- 活動歴 -

1981熊婦人会が『くんま生活とその文化』を刊行
1985明日の熊を語る会開催
1986熊地区活性化推進協議会を設立
1987ふるさと活性化事業スタート
1989第28回農林水産祭「むらづくり」部門で農林水産大臣賞、天皇杯を受賞
1995くんま水車の里が道の駅に認定
2000夢未来くんまが特定非営利活動法人(NPO)として県より認証される
いきがいデイサービス「どっこいしょ」活動開始
2012全国の地方新聞社と共同通信社が設けた第2回地域再生大賞で東海・北陸ブロック賞を受賞


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