» 柚木 康裕(ゆのき・やすひろ)|ふじのくに ささえるチカラ

柚木 康裕(ゆのき・やすひろ)

アーティストと観る人を育て、芸術が育つ
自在な芸術表現と鑑賞が可能な空間を作る


ゆのき・やすひろ

柚木 康裕


オルタナティブスペース・スノドカフェ 運営責任者


取材日:2011/12/20

地元アートと触れあう空間「スノドカフェ」

 静岡市清水区で約30年、根強い常連客に支えられ続いてきたスノードールというリサイクルブティックがある。2000年に2代目として引き継いだ柚木康裕さんが、併設しているカフェの空間を使って珍しい試みをしている。
 柚木さんは店を受け継いだ後、カフェは一時休店し、ブティックに専念していた。衣料品の買付で上京することが多くなった彼が、都内で度々見かけて強い印象をうけたのが、オルタナティブスペースと呼ばれる空間だ。それはアートの展示や発表のために市民が作りだす代替施設を差す。行政や企業が運営する美術館やギャラリーとは違う魅力を感じ、興味を抱いた。
 アートへの関心が強まり、オルタナティブスペースとしてもカフェとしても利用できる「スノドカフェ」を2006年にリニューアルオープン。各地で催されるアート関連のイベントに参加して作家との交流を重ね、行動は加速する。東京のNPO法人「アートイニシアチブトーキョー」の講座に通い基礎知識、マネジメントも学んだ。以降、美術の展示会や演劇、トークイベントなどを行ない、カフェという空間を活かしてアーティストと来場者が積極的にコミュニケーションできる企画を展開している。
「アートは作家だけでなく観る人がいて成り立つもの。その機会を作りたい」と柚木さんは語る。ある企画では、版画から浮かぶ短い物語を客が作り、小説家が評するという、異分野の専門家と鑑賞者とのふれあいの場も創出。同時に作家同士の関係も広げてきた。
 スノドカフェは、現代を生きるアーティストと市民が出会う場となり、さまざまな価値を生む空間として機能している。





以下、インタビュー

1. 自由な空間・オルタナティブスペース

作家と観る者をつなげる空間にするために
自身の確かな知識、審美眼を鍛える

 アートに興味を抱いてから、関連するいろんなイベントに参加してきました。そこで知ったのは、作家ではないけれどアートに関わっている人ってたくさんいるんだなあ、ってこと。でもそういう第三者的立場の人たちが作家を支援したり、作家に意見や想いを伝えたりする場所、機会というのは意外と少ない。静岡では特にね。
 第三者のアート活動によって、アートの世界が広がりを見せるんじゃないかって思ったのが、スノドカフェ開設のきっかけです。作品に対して僕が作家本人に感想を述べたり、お客さんに解説したりすることで作家の成長を促し、観る者の目を養う。そんな場所にしていけたらいいな、と。
 ただ、そのためには僕自身が人に意見できるだけのクオリティーを持っていなくてはいけない。正しい知識を学び、審美眼を鍛えていくことを常に意識しています。

2. ネットワークの構築

芸術の振興という志を共にする人たちとの交流

 スノドカフェの運営によって同じ想いをもつ人たちとの出会いが生まれ、ネットワークもできてきています。静岡のアート関係者とアートファンのおしゃべりの場を設けたときは120名もの人が参加しました。SPAC(財)静岡県舞台芸術センター主催の「ふじのくにせかい演劇祭」で、演者と観客が酒を酌み交わし交流するフェスティバル・バーにも協力しました。こうした催しのなかでアートの展望や期待、問題を共有することで、静岡における芸術文化全体の底上げにつながってほしいですね。



3. DARA DA MONDE(だらだもんで)

 「観て伝える」活動の延長として
作家との関わりをカタチにする芸術誌創刊

 作家との関わりをさらに形にするため、雑誌を発行することになりました。おおまかに言うと芸術批評誌で、展評や劇評、芸術評論や作家へのインタビュー記事を掲載します。誌名は静岡特有の言葉「だら」「だもんで」からとりました。SPACなどで編集の仕事をするフリーライター・西川泰功氏が編集代表となり、各アート関係者が無償または低予算で取材・執筆しています。鑑賞者の批評能力を育てることを目的に、アマチュアによる批評文も募集しています。作家やその卵たちが雑誌を通じて出会い互いに刺激を受けることで、彼らの創作活動へと還元させたいですね。鑑賞者は作家自身が気づいていないようなことに気がつくものだから。作家がそこに目を向けて、自らを知ることにもつながります。
 観る人もまたアートを支えています。多様な関係が生まれることで芸術もまた育っていくと思っています。

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オルタナティブスペース・スノドカフェ

静岡市清水区上原1-7-3 2F TEL 054-346-7669


柚木 康裕(ゆのき・やすひろ)

- 略 歴 -

2006オルタナティブスペース・スノドカフェ開店
2008自主企画現代アート展「マイ風景展」開催
ストリートフェスティバルinシズオカに飲食部門のコーディネーターとして参加(以後毎年)
2010「静岡アートラウンジ」を共同企画
SPAC(財)静岡県舞台芸術センター主催「春の芸術祭2010」においてフェスティバル・バーを共同開催
2011SPAC主催「ふじのくに せかい演劇祭2011」
フェスティバル・バーにコーディネーターとして参加
静岡県立美術館の自主企画展にトークゲストとして参加
  
  
  


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