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カミアカリドリーム(かみあかりどりーむ)

田から食卓まで関わる人をつなげる勉強会
個性ある米に向き合う中で食文化を見いだす


かみあかりどりーむ

カミアカリドリーム


長坂潔曉 カミアカリドリーム代表


取材日:2012/ 1/10

巨大胚芽米カミアカリを軸に様々な交流が動き出す

 その米の突然変異種は見つけられるべき人物によって見つけられた。コシヒカリを栽培する2反ほどある田んぼの中の一株、その中のわずか2穂だけに実をつけた籾(もみ)。稲のことばかり考え続けている人物がそれに目を留めた。発見者は、藤枝市で有機栽培米を生産する農家の松下明弘氏。その米「カミアカリ」の命名者が、静岡市で米店を経営する長坂潔曉(きよあき)氏で、現在この2人がカミアカリドリームの代表を務めている。
 カミアカリは胚芽部分の大きさが普通の米の3倍余りある。その特徴から、玄米で食べることが宿命づけられているような個性のある米である。個性はそれだけではない。まず栽培する土地、生産者によって違いが現れる。そして性質がデリケートで誰にでも扱えるものでもない。さらに炊き方も一筋縄ではいかない。しかし、すべてが整うと驚くほどおいしいご飯となる。生産から流通、消費に関わる人が三位一体となって、この米のことを理解してはじめて、うまさを堪能することができるのだ。こうした特性のあるカミアカリだからこそ、生産して食べるまでのつながりを理解する題材となり、食の文化を総合的に学ぶことができる。そうしてカミアカリを中心に据えて、食を研究し、実験、体験する組織カミアカリドリームが動き出した。
 生産者、流通業者、消費者はともすれば利害が逆になることがある。そうした立場の違いを超越して勉強会には様々な人が参加する。間口を広げ、大学教授も、くだものの生産者も、米炊き名人も演壇に上がる。講師となった人が次は聴衆になり、聴衆の一人が次は演壇に立つ。勉強会では分子が入れ替わりながら成長する生き物のように交流が広がり、食文化に興味を持つ人を増やしている。





以下、インタビュー

1. カミアカリの発見

歴史的場面に遭遇したような鳥肌が立つ体験
米の概念を変える画期的な出来事になる予感

 カミアカリとの出会いは衝撃的で、まさに鳥肌が立つような感覚でした。生産者の松下さんとの交流はその数年前からありましたが、彼は「稲オタク」といっていいほど、いつも稲のことを考え、稲のことばかり語っているような男でした。今は日本全国でコシヒカリを作っているので、コシヒカリの突然変異は随所で起きているはずです。カミアカリと同じような変異種もあるかもしれません。しかし、彼のような人物だからこそ見つけられたのではないでしょうか。
 米の歴史では、明治に生きた山形の阿部亀治氏が「亀ノ尾」という突然変異種を発見したことが画期的な出来事ですが、それと同じくらいすごいことが起きている。阿部、松下の両氏が時空を超えてシンクロしたかのように思えました。食べれば、米の概念までも打ち崩すような食感もあり、興奮が抑えきれませんでした。そして、新品種の登録出願が受理された後しばらくして、カミアカリドリーム勉強会を立ち上げました。

2. カミアカリドリームの考え方

どんな人も参加できる、面白さを追及する勉強会

 勉強会というと、業界人、消費者といった同じ立場にある人達どうしが集まってやることが多いですが、そうはしません。作る人から食べる人までがカミアカリのことをちゃんと知らないとおいしく食べることはできないからです。そして、栽培、保存、炊飯それぞれの過程で個性を生むんです。こんなに面白い研究対象が米という身近な食の分野にもあるんだって多くの人に関心を持ってほしいんです。
 勉強会は40-50人くらいが参加します。オープンにしているのでいろんな人が来ますし、リピーターも多いです。



3. 結果の共有と発信

カミアカリを題材に多様な表現ができる
参加者が「気づき」を得る場にもなる

 私は、カミアカリという恒星の軌道を回る星のように、いろいろな人がいろいろな関わり方をしてくれればいいと思っています。近くをくるくると回る星もあれば、遠い軌道を回る星もある、たまに近くを通る彗星のような存在もあるという具合に。どんなポジションで参加しても構わないかわりに、お客様扱いもしません。研究しがいのある対象を様々な人がシェアして追求し、結果を共有する、そんな集まりがいい。色々な人が参加するからこそ互いに「気づき」がある場になると期待しています。
 カミアカリという米は関わる人の個性が現れるゆえに、それを使って表現ができる存在だと思うんです。戦闘の道具である刀剣に美術品のような価値が与えられたように、単に食べ物というだけじゃないある種の芸術性すら付け加えられるんじゃないかと思うくらいです。だから我々はいろんな切り口を掘り起こし、こんなに面白くて興味深いものなんですよって発信し続けていきます。

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カミアカリドリーム事務局

静岡市葵区安東2-20-24(安東米店内) TEL 054-245-1331


カミアカリドリーム(かみあかりどりーむ)

- 略 歴 -

1998松下明弘氏がコシヒカリの巨大胚芽の突然変異を発見
2005農水省へ出願していた新品種としての登録出願が受理される
2007カミアカリドリーム勉強会を設立
第1回、第2回勉強会開催(以後、年2回ずつ開催)
2008カミアカリが品種登録となる
2011カミアカリツーリズムを実施


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