» 安倍奥の会(あべおくのかい)|ふじのくに ささえるチカラ

安倍奥の会(あべおくのかい)

住人の生活を地道に取材し、共に催しを築く
里山の文化を街の人々に伝える架け橋になる


あべおくのかい

安倍奥の会


原田 さやか(代表):左
森谷 紗世:右


取材日:2012/ 1/24

美しい風景とそこにある生活、人の温かさに感動して

 安倍奥とは静岡市を流れる安倍川上流区域のことで、県境の梅ヶ島や井川、玉川など6つの地区からなる山間地帯を差す。安倍奥の会は2008年、玉川地区を拠点に動きだした。
 玉川には、65歳以上の高齢者が住民の過半数を占める集落がいくつか存在する。時に「限界集落」という言葉で表現され、共同体の維持が危惧される集落だ。有志である会のメンバーは玉川の自然の美しさ、そこに残る古き生活の知恵など、地域の魅力を街の人々に伝えることで、住民の力になりたいと考えた。
 代表の原田さやかさんは情報誌のカメラマンであり、メンバーの森谷紗世さんは美術館の学芸員。他に公務で町おこし事業に携わった人や歴史小説家が会に在籍する。会を立ちあげた年には静岡葵生涯学習センターで「安倍奥の風景」展を開催。玉川に住む人々の暮らしや風景写真を展示し、自分たちが受けた感動を伝えた。芸術・食・歴史など各自の専門分野を活かした企画も展開したが、その活動は単に地域の紹介にとどまらない。玉川に何度も足を運び地元の人と会話を重ね、地元主催の行事を手伝い、そこに住む人たちを知る努力をした。住民もそんな彼らの想いを理解した。横沢集落に残る伝統・横沢神楽の催しを保存会と共に成功させるなど、地域独自の文化も共に支えた。
 児童を山の行事に参加させる目的で始めた「玉川へ行こう!」第2回では、長熊集落の年中行事であるどんど焼きを中心に企画を組んだ。凧あげを楽しむために集落の人が凧を作った。街に住むこどもが、皆が、河辺で笑い戯れ、砂まみれになった。「彼らが皆を連れてきてくれるから、行事もにぎわうよ」と土地の人々は口をそろえる。山に残る文化を街に伝えるとともに、山に住む人たちに活気を与えている。






以下、インタビュー

1. 安倍奥・奥仙俣との出会い

大自然の風景とそこに住む人の温かさ
肌で感じた魅力を街に伝えたい一心で動きだす

原田:仕事で静岡の限界集落を調べていた頃、浅間通りの朝市で、岩崎さんというおばあちゃんに出会いました。聞けば朝市のために玉川・奥仙俣から来ているとのことで、おいしそうなわさび漬けやお茶を販売していました。奥仙俣が限界集落となりつつあることなど色々なお話をしてくださり、遊びにおいでと行ってくれて、本当に遊びに行くことにしたんです。雨の日でした。その時に見た、霧がかかる山の幻想的な風景、岩崎さんがしてくれた温かいおもてなしに、ただただ感動してしまいました。
 その後も定期的に玉川に通うようになり、この土地の素晴らしさを伝えるためにどうしたらよいか考えました。よそ者である私たちと玉川の人たちとの橋渡しをしてくださったのが、まもなくして出会った長妻田の曹源寺さんです。玉川の自然に寄り添った暮らしが大好きになり、その気持ちだけで動きだした私たちを支えてくださいました。

2. 曹源寺での催しごと

それぞれの得意分野で安倍奥の魅力を伝える

原田:催しを考えるうえでは、音楽、アート、食や歴史などメンバーそれぞれがもつ得意分野を生かしてきました。安倍奥の悠久な時の流れやお寺の雰囲気に合うと思い、曹源寺でインド音楽ユニット・瞑想図さんのコンサートを開いた時は、背景に私が撮影した玉川の映像を流しました。カメラにおさめた風景を編集してくださった武蔵野美術大学の先生、インド大使館の後援など、たくさんの方々にお世話になりました。夏には地元の方たちと協力して、境内で流しそうめんまつりを開催しています。



3. 玉川新聞

季刊誌の創刊により、住民に気持ちが伝わる

森谷:安倍奥の会ってこういう人たちなんだな、と地元の方が理解を深めてくださったのは、玉川新聞を発行するようになってからです。有形として地域に残る史跡や資料を調査・紹介し、無形としては、土地の人を取材して、その暮らしにある生活文化を、レシピを聞き取るなどしてまとめています。その活動がみなさんとの個人的なお付き合いにも発展していきました。玉川で30年前に復興した横沢神楽さんと関わることは、まさに静岡の文化に携わることだと思います。



4. 玉川へ行こう!

里山の人々と大自然に触れる機会を
子どもたちに与え、街と山との架け橋になる

森谷:未就学児とその家族を対象としたイベント「玉川へ行こう! 」では、どんど焼きのような地元の行事に参加しながら、子どもたちが玉川の人々や自然に触れる機会を作ることができました。街の子どもが山じいちゃん、山ばあちゃんとのつながりを築く架け橋になれればいいな、って思っています。
原田:玉川の人たちや自然に触れて、全身でいろんなことを感じてほしいですね。この山にある文化や暮らしが、あわただしい街に住むわたしたちにこそ必要なんです。
 岩崎さんを訪ね、奥仙俣の世帯9件中のほとんどがおばあちゃんの一人暮らしという現状を知り、最初は焦燥感から動いてしまいました。でも次第に、あまり急いでも仕方ないことがわかってきました。玉川の人たちと一緒に何かを築いていくことが大切です。そして玉川の魅力を伝え、みんなが人として豊かに暮らせるようになったらいいなぁ、と思います。

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安倍奥の会

静岡市葵区(玉川地区) <連絡先> TEL 090-7692-1415(原田)


安倍奥の会(あべおくのかい)

- 略 歴 -

2008「安倍奥の風景」展 開催(静岡葵生涯学習センター)
2009 インド音楽イベント「安倍奥の旋律」開催(曹源寺)
安倍奥アートプロジェクト紹介
(静岡アートギャラリー「ここにある場所」展)
2010 流しそうめんまつり 開催(曹源寺)
玉川新聞 創刊、以後年4回発行
2011 お茶つみ楽会
舞踏と音楽のイベント「記憶の海」開催(長光寺)
流しそうめんまつり 開催(曹源寺)
「玉川へ行こう!-やきいもの日」開催(長熊)


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