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松浦 正美(まつうら・まさみ)

音楽、福祉、講演会
清らかな水の町に根づかせた「草文化」


まつうら・まさみ

松浦 正美


NPO法人ウォーター・ビジョン 理事長


取材日:2011.11.18

身近に埋もれる宝を掘り起こす活動

「人はとかく遠くのものに憧れ、身近にあるものの素晴らしさに気づかない」そう語る松浦正美さん。松浦さんは1998年まで駿東郡清水町の特定郵便局局長を務めていたが、NPOの法制が整ったのを機に退職。すでにボランティア団体の援助を目的に設立していたウォーター・ビジョンをNPO法人として申請し、県で3番目の認可を得た。
 郵便局長時代、局舎2階のギャラリーを会場にして、地元文化人による講演「長沢郵便局カルチャー 教室」を開設。第1回目は清水町長沢在住の醍醐重雄さんによる「日本の歴史」とした。歴史に関する同氏の博識ぶりに以前から目をつけていたという。
 初回から次へつなげるにあたって「講演を聞きにきた地元の人の中から出てきてほしい」と考えた。リスナーから次の講演者が現れる形で、さまざまな分野における知識・教養を披歴する場となる。それが「地元の文化人や芸術家を掘り起こす」ことだ。受講者にその想いを訴えた結果、多くの人が賛同してくれた。以後カルチャーサロン、ポスタルサロンと名称を変えつつ、現在まで160回以上の講演会を開催。「ウォーター・ビジョン講座」として存続している。
 NPO法人となって、かねてより清水町教育委員会と協議していた地元の演奏家によるコンサート「泉のまち音楽会」の運営を受託。近隣の素晴らしい演奏家の存在を知ってほしいという想いがあった。この音楽会も1998年の設立から途切れずに続いている。
 ウォーター・ビジョン講座や、泉のまち音楽会を皮切りに、地元の宝を掘り起こし、多方面において地域に貢献する松浦さん。言わずもがな、“ウォーター”も地元清水町の宝、柿田川湧水を差す。


以下、インタビュー

1. 泉のまち音楽会

安請け合いだった音楽会の企画
蓋を開けたら演者が誰もいなかった。

 退職してから、教育委員会から依頼されていたコンサート企画を始めようとしました。現在まで272回行ってきた実績がある、クラシック音楽中心の無料コンサート「泉のまち音楽会」です。町内には公民館が一つありましたが、あまり利用されていなかった。だからそこを使って地元の音楽家のコンサートをしてほしい、というお話が以前からあったのです。
 さあ始めようとした矢先、いきなりつまずいてしまった。小さい頃からずっと音楽を習ってきて、音楽学校の先生になったような人たちが皆、「大勢の人の前で演奏なんかしたことない」って言うんですよ。これにはびっくりです。子どもに教えることはできる、でもプロにならない限り、大人になってから人前で演奏する機会などない、ってことですよね。僕自身も音楽方面のコネクションはありません。「やれやれ、ことは簡単ではないぞ」と困り果てました。

2. 松浦正美が掲げる「草文化活動」

在野の優れた人材に目を向けてほしい。

 3歳から大学院まで音楽に身を捧げてきているのに、音楽で生活できない、演奏する場がないなんておかしいですよ。プロでなくとも、素晴らしい演奏をする人はいるはずだ。彼らが演奏する機会をつくりたい。それによって音楽に夢を持つ子どもたちにも希望を与えたい。そう思うようになりました。在野の人材を掘り起こし、みなさんに知ってもらう。これがポスタルサロンから続けてきた我々の「草文化活動」なんです。
 やっとのことで出演してくれる人が一人決まってからは、次々に引き受けてくださる方が現れ、ほっとしました。

3. 広がり続けた活動の枝葉

国際支援や福祉にも発展
壁を越えるたびに視界が開ける

 言うまでもないけれど、ひとつ壁を越えると世界は広がります。例えば「ベトナムの子供達を援助する会」という活動。戦争で使用された化学兵器の影響を受けたベトナムの子供達の実情視察をしているのですが、これはポスタルサロンでの「ベトナムを旅して」という講演がきっかけでした。デイサービス活動に発展したものもあります。しばらく前に熱海在住のプロヴァイオリニストを音楽監督に迎えて「伊豆室内オーケストラ」が編成されましたが、これは音楽会に出演したメンバー中心でした。
 すでに僕の手を離れているものもありますが、清水町から始まった活動が枝葉を伸ばし、少しずつ他の地域にも広がっていきました。小さな町には小さな町のやり方とやるべきことがある。地域の宝は地域のなかにある。遠くにあるものじゃない。近くにあるものこそ大切なんだよ、ということを皆さんに知ってほしい。

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NPO法人ウォーター・ビジョン

静岡県駿東郡清水町154-1 リバーコート3F TEL 055-972-6112


松浦 正美(まつうら・まさみ)

- 活動実績 -

1977長沢特定郵便局局長に就任
1991長沢郵便局2Fギャラリーにてポスタルサロン開設
1995「ベトナムの子供達を援助する会」発足
1998長沢郵便局退社
NPO法人ウォーター・ビジョン設立
「泉のまち音楽会」開催(清水町教育委員会主催)
2002「町全体が美術館」開催(清水町教育委員会主催)
2003 「伊豆室内オーケストラ」編成、ニューイヤーコンサート開催
2006デイサービス「ドレミの丘」開設
2009 「落語を楽しもう会」発足


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