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佐藤 亮(さとう・あきら)

音楽を人々の生活に根づかせる、それが使命
仲間とつないだ輪で普及活動に全力を注ぐ


さとう・あきら

佐藤 亮


チェンバロ作家
フェリーチェ合奏団音楽監督


取材日:2012/ 1/27

たくさんの仲間とつなぐクラシック音楽の輪

 ヴィヴァルディやバッハなど、バロック音楽の時代から使われていた鍵盤楽器・チェンバロを30年以上作り続けている佐藤亮(あきら)さん。彼の人生はまさに音楽一筋だ。
 北海道出身で浜松市天竜区に在住する。高校で管弦楽団と合唱団に入団、大学ではオーケストラに所属してヴィオラを弾いた。卒業後は日本楽器製造株式会社(現ヤマハ株式会社)で管楽器の開発を担当、同時期に仲間と浜松バロックアンサンブルという音楽サークルを作った。1974年の退社後、そのサークルにチェンバロが必要になって製作を始めたが、これが思いがけず自分の職業になった。個人向けだけでなくODA(政府開発資金援助)による海外向けの製作も手掛ける。フルート演奏の指導もするなど、独立後も音楽活動を続けてきた。
 「市民がクラシックを身近に楽しめる環境を作りたかった」という佐藤さんは1989年、当時の天竜市(現浜松市天竜区)から文化施設建設審議委員会の委員に任命された。それをきっかけに他の機会でも、文化施設やその運用に対する助言を求められるようになった。施設利用を活発にするため、佐藤さん自らも民間の音楽鑑賞団体「コンサートホール天竜」を立ちあげた。市民吹奏楽団や混声合唱団を組織し、文化の拠点・天竜壬生ホールの落成にも尽力。以後も音楽の普及と演奏家の紹介に力を注いだ。
 佐藤さんは、ホールという器の完成で終わりではなく、活発な文化活動を促すために、それを有効に活用する努力や施策が必要だと考える。2008年には「音楽の架け橋・メセナ静岡」との共同で障害を持つ人や特別支援学校の生徒を招待する定期演奏会を静岡市で開始。音楽を人々の日常に根づかせる活動自体を文化として、次の世代につないでいく手段も模索する。






以下、インタビュー

1. チェンバロ製作への想い

仲間とバロック音楽を演奏するために製作開始
数少ないチェンバロ作家として約80台を納入

 かつて、チェンバロは専ら輸入に頼っており非常に高価なものでした。バロック音楽にチェンバロはなくてはならない楽器です。アメリカなどではアマチュア向けのキットも売っていましたが国内には無く、それなら一から自分で作ってしまおうと考えました。欧米の文献や博物館にある古楽器の図面など資料を集め、辞書を頼りに少しずつ調べていきました。
 製作に苦労はありましたが、もう夢中でした。最初のチェンバロが完成したとき、学生時代から親しかったフルーティストの金昌国(きんしょうこく)さんが注文してくれて、そのときは本当に、天にも昇る気持ちでしたね。それが結局、自分の職業になりました。
 ODAに関連して海外向けにも12台ほど、全部で80台ほど作ったでしょうか。納入したものは当然メンテナンスもしなければなりません。品質に対して責任を負うことも大切なんです。

2. 音楽文化の普及

日常に音楽を定着させることが自分の使命

 クラシックが好きな両親のもとで育ち、生活のなかに自然に音楽がありました。こんなに素敵なのだから、もっとみんなで楽しみたいと、こどもの頃から思っていたんです。音楽教師になる予定でしたが、芸大の恩師の勧めで図らずも楽器製造会社に就職し、社会人として音楽を楽しむ同僚や仲間、環境に恵まれました。
 僕ももう晩年。自分の使命と思い、多くの仲間とともにやってきた音楽の普及活動を伝統として残し、人と人を音楽でつないでいけたらなあ…と、思っています。



3. コンサートホール天竜とフェリーチェ合奏団

自治体との審議を経て結成した鑑賞団体
天竜壬生ホールの創設や福祉活動にも発展

 天竜市に居を構えた翌年の1990年、文化活動の普及や市民ホール建設など、いくつかの委員になるよう市から声がかかりました。浜松市から転居してすぐのことで、驚きましたね。当時の本多直彦市長ら市幹部は文化の普及に非常に熱心だったのです。壬生ホール建設を機に音楽鑑賞団体のコンサートホール天竜を組織し、僕が音楽監督を務めているフェリーチェ合奏団や、吹奏楽団、合唱団も発足させました。本当に素晴らしい、多くの仲間と出会えたと感じています。
 フェリーチェ合奏団の活動はメセナ静岡さんの発足につながり、心身に障害を持つ方が健常者の皆さんとともに音楽を楽しむ「モーツァルトのやさしい調べ」を共同開催してきました。障害を持つ方のアンケートに「夢のようだった」という声があり、音楽を楽しみながら、周りの人たちの思いやりや心遣いを肌で感じたと書かれていました。嬉しかったですね。

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浜松市天竜区二俣町鹿島1-141 <連絡先> TEL 053-925-3814(佐藤)


佐藤 亮(さとう・あきら)

- 略 歴 -

1976チェンバロ製作開始
浜名リコーダーアンサンブル、浜松室内楽鑑賞会結成
1985ヤマハ銀座店にチェンバロを初納入
ODAで中国上海交響楽団にチェンバロ寄贈
1989天竜市の要請で「ふるさと創生委員会」委員に加わり、 文化施設とその運用について討議
1990音楽鑑賞団体・コンサートホール天竜発足
以後70回以上の音楽会を開催
1997フェリーチェ合奏団結成、ヴィオラ及び指揮担当
1999掛川市くるみ幼稚園にチェンバロ納入
第1回天竜市民音楽祭開催(以後6回まで開催)
2003新ホール誕生を祝う「フェスティバルコンサート」開催
2008静岡音楽館AOI「モーツァルトのやさしい調べ」
(音楽の架け橋・メセナ静岡と共同開催、以後毎年)
2011掛川市くるみ幼稚園のチェンバロをメンテナンス


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