静岡市立清水第五中学校
静岡市清水区三保1720 TEL 054-334-0034

- 略 歴 -
1999 | 学習指導要領の移行に伴い、3年生の選択教科として能を取り入れる |
2009 | 第24回国民文化祭で3年生が羽衣を披露 |
2011 | 新学習指導要領への移行に伴い、能を全校学習として授業時数に組み込む |
取材日:2012/ 1/17
佐野:能に限らず、昔から日本に伝わるものには必ず、確かな筋道と納得する理屈があります。足はどちらから踏み出し、引っ込めるか。刀はどこに差すか。元をたどればすべて「自分が動きやすいこと」を念頭に決められていて、その所作自体が、礼を尽くすことにもつながっています。日本の礼儀作法はそうできており、伝統芸能にはその素材が蓄積されているのです。何をしたら相手に失礼になるか、何をしたら嫌な気持ちにさせるか。何が相手にやさしくすることで、何が冷たくすることか。この授業はそれを知ってもらうためのもので、能だけを教えるためのものではありません。
能における身体の軸は、心の軸。想いや精神がしっかりしていないと、身体の表現もできない。だから生徒の皆には、しっかりと目標を作りなさい、と言ってきました。能に必要なことは人にとって必要なことなのです。
佐野:私の祖父がいた石川県金沢市では、能楽を見ることが市民の文化として定着しています。この授業が始まる前、我が母校でもぜひそうしてほしいと清水市(現静岡市清水区)の教育委員会に話をもちかけました。しばらくして当時の校長先生から連絡をいただき、能の指導の依頼を受けました。
授業のなかで驚いたのは羽衣の松を見たことがない生徒が多いということです。学校から歩いて5分ですよ。世間には富士山が美しく見えることでも知られている三保の松原です。行ってみたいと思わない、親御さんもそう導かない。それが残念でした。「君たちが住んでいる街にはこんなに素晴らしい場所があり、そこにこんな伝説がある。それは能でこのように表現されているんだよ」そんな気持ちで、地域の価値を伝えたい。羽衣まつりに参加することでその気持ちを親御さんにも届けたいのです。
山本:この授業では、地域の景勝地である三保の松原とその由来を題材にした能学習をとおして日本古来の文化を伝え、ふるさとを愛する心や思いやりの心、礼節を尊ぶ心を育みたいと考えています。佐野先生は、当たり前のことが当たり前にできる、人として大切な姿勢を指導してくださっています。この学びから、生徒たちが夢を育み、その実現に向けて本気で努力する意志と意欲を培ってくれればと思います。
羽衣まつりの舞台では、3年生全員で素謡『羽衣』と自ら立候補した生徒で仕舞『羽衣』を披露します。背筋をきりっと伸ばし、凛とした表情で謡や舞いを披露する生徒の姿から、能学習による確かな成長を実感します。
今後、ふるさとへの気持ちを育んだ生徒たちが羽衣まつりをはじめ、地域のさまざまな行事の中心となってくれることを期待しています。それが地域の一層の発展、活性化につながってほしいと思います。
静岡市清水区三保1720 TEL 054-334-0034
1999 | 学習指導要領の移行に伴い、3年生の選択教科として能を取り入れる |
2009 | 第24回国民文化祭で3年生が羽衣を披露 |
2011 | 新学習指導要領への移行に伴い、能を全校学習として授業時数に組み込む |